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58回目 稼ぎたいなら協力はする、奪いに来るなら奪い返すだけ

 ヒロトシが処分してるのはそれだけではない。

 通りにいる物乞いなども片付けている。

 放っておくとそれらも盗みに入ったりする。

 そうでなくても、店の前などに屯する。

 飯などを手に入れるために、そうやって営業妨害をする。

 場合によっては、犯罪集団の手先になる事も。



 そういった面倒を起こすので、これらも処分していった。

 もちろん、事前にある程度の対応はしている。



 犯罪集団と違い、まっとうな世界に復帰したいと思ってる者もいる。

 そういう者には声をかけて、迷宮での活動方法を教えたりもする。

 場末の宿にいる者達の中には、そうして社会復帰した者もいる。



 だが、中にはそういう暮らしに馴染み、問題を起こす者もいる。

 物乞いや嫌がらせをして暮らしていこうという者がだ。

 そこまで行くと、犯罪集団と大差はない。

 迷惑を被るという事については同じだ。



 それらは容赦なく迷宮に放り込んで始末していった。

 迷惑になる、損害が出るからだ。



 そうした事を続けたおかげで、場末の宿周辺は落ち着いたものだ。

 以前よりも住みやすくなっている。

 迷惑行為や犯罪を生業としてる連中が消えたのだ。

 それも当然と言える。



 おかげで納税する者も増えてきた。

 その為統治者も文句はいわなくなってきた。



「そんなわけで、やらなきゃならない間引きをしてるんだ」

「なるほど」

 ミナホもそれで合点がいった。

 そりゃ、やらなきゃならないだろうと。



 誰かが身の安全を保障してくれるわけではない。

 自分で守らねばどうしようもない。

 ある程度までいけば治安機関も動く事もあるにしてもだ。

 まず、自分で自分の安全を確保しなくてはならない。

 そう言う世界である。



「そんなわけだから、危ない連中を見つけたらよろしくね。

 迷惑な奴らも。

 その場で始末してもいいけど。

 なんなら生きたまま捕まえておいてくれると助かる。

 さすがに死体になると面倒だから」

「分かりました」

 あっさりと頷くミナホ。

 そういう事情ならばと承諾していく。



 安全な生活の為だ。

 異存や異論などあろうはずがない。

 住んでる所が危険な状態で損をするのは、結局自分だ。

 その為にするべき事をするなら文句はない。

 今後の自分の安全も関わってくるのだ。



「最悪、面倒な連中の処分もするけど。

 その時は協力をお願いするかも。

 せめて見ないふりはして欲しい」

「分かりました」

 さすがにそこまで協力出来るかは分からない。

 だが、見ないふりで良いなら可能だ。

 それで良いなら何も見なかった事にしていく。



 そんな事が決まって、作業も進められていく。

 今回も怪物相手に作業は進められていく。

 自動車で来てるので、荷物を普段よりも集める事が出来る。

 荷台をいっぱいにする程に集め、それから帰還していった。

 おかげで滞在時間が長くなった。



 自動車の燃料にもするので、途中で幾らか消費されるが。

 それでもかなりの魔力を持ち帰る事が出来た。

 それだけでミナホは、この先何年かは仕事をしないで済むだけの金を得た。

 いっそ、探索者を辞めても良いくらいだ。



 だが、それならばあともう少し続けておこうとも思い始める。

 どうせなら、老後も暮らせるように。

 なんなら、多少は贅沢な生活が出来るように。

 見上げたらきりがないが、一般人よりも楽しい人生を夢見ていく。

 それが可能な所に来てるのだから、それも当然だろう。



 暮らしていければ良い、というのは人間として間違っている。

 最低でも、暮らしに滞りがないくらいに。

 出来るならばより快適に。

 それが出来るならそうしていくべきである。

 無理なく出来るならその方が良い。

 それを遮ったり否定する考えの方が間違ってる。



 ミナホは今、それを目指せる所にいる。

 それも自分の力で。

 相応に危険な事もしてる。

 誰かに責められる謂われはない。

 倫理・道徳的にもだ。



 それこそ、盗みやタカリで金を作ったわけではない。

 命がけで迷宮に入り、教えてもらったやり方を駆使しただけである。

 後ろ指指されるような事はしてない。

 されるとしたら、やってくる方が悪い。



 誰にも文句を言われる筋合いのない仕事。

 誰かがやらねばならない、危険対策の仕事。

 それをこなして報酬を手に入れる。

 極めて真っ当な作業だ。

 それで手にした財産で、楽な生活を手に入れる。

 探索者なら誰もが求めるものだ。



 それを手に入れる為に、ミナホももう少し頑張ってみようと思った。

 その邪魔をする者がいるなら、容赦なく排除しながら。

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