表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/104

57回目 迷惑を我慢する理由がどこにあるのか

「誰も片付けてくれないから」

 盗人の始末。

 わざわざ自分でやってるのは、それが理由だった。



 この世界、治安機関はそれほど便利なものではない。

 統治者の周辺が安全ならそれで良い。

 その程度にしか働かない。

 この世界における警察というのはそんなものだった。



 治安機関の性質上仕方が無い部分がある。

 統治者の安全を守る。

 それが治安機関の仕事だ。

 町の治安を保つのは、そのついでだ。

 犯罪者などを取り締まっていれば、安全の確保が出来る。

 つまり、統治者に迷惑がかからなければたいていの事はお目こぼしされる。



 探索者が集まって出来た町というのもある。

 荒くれ者が多いし、そんな者達の子孫が町を作ってる。

 騒動も多いし、それを取り締まるのも難しい。

 何せ、誰もが魔力を持ってる。

 そんな連中の取り締まりは面倒だ。



 その為、余程の事がなければ、まともな取り締まりなどされない。

 統治者も見て見ぬふりをする。

 面倒を避けるにはそうするしかない。



 それでも、動くときは動く。

 さすがに死傷者が出るような事件の放置はほとんどない。

 それらも放っておいたら、税収にも響く。

 一定の安全さがなければ、商業活動などが出来ないからだ。



 なのだが、それすらも場合によっては放置される。

 問題を起こしてる連中がそれなりの上納金を支払ってる時だ。



 統治者からすれば、税金や上納金の出所がどこであっても構わない。

 それなりの金額が手に入れば良い。

 それを支払ってくれる者が良い住人だ。



 言ってしまえば、ヤクザやマフィアといった犯罪集団。

 それらが払うものを払っていれば、何をしようと目をつむる。

 例え誰が死のうと、どれだけ問題が起ころうともだ。

 徴税の手間を省き、金を納めてくれるならそちらを尊重する。



 そうして治安機関が手を引いていった地域もある。

 場末の宿があるあたりもその一つだ。



「だから、問題は自分で解決するしかないんだ」

 ヒロトシが盗人などを迷宮で処分してる理由がこれである。



 宿には上納金が要求されている。

 それを拒否してるので、嫌がらせをかねて盗人などがやってくる。

 強盗殺人を行う犯罪集団の実行部隊がだ。

 ヒロトシ達はそれを撃退している。



「魔力を持ってるから面倒なんだよな。

 普段は迷宮で探索者もやってるし」

 そういう連中が徒党を組んで悪さをしてるのだ。

 迷宮で怪物相手をするより安全だからといって。

「だから、そういうのを潰してる」



 そうでもしないと安全を確保出来ない。

 その為ヒロトシ達は、宿の周囲に危険な魔力の罠を設置している。

 敵を捕まえるために。



 それだけでなく、敵対している組織を潰してもいる。

 もともと地元にいた連中は、ヒロトシが自ら乗り込んで壊滅させている。

 今やってきてるのは、そうして空いた場所に乗り込んできた他勢力である。

「そいつらも近々潰そうと思ってる」

 いい加減鬱陶しくてしょうがない。

 居場所を突き止めて処分するつもりでいる。



「今日やってるのは、そういう事だ」

 なるほどと思った。

 本来、町の外れのあたりというのは治安が悪いものだ。

 治安機関がそっぽを向いてるから、柄の悪い連中が多いのだ。

 しかし、場末の宿の周辺が意外と落ち着いてる。

 ありがちな騒ぎがほとんど起きない。

 そういうのを自力で排除してるからだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 活動、および生活支援をしてくれるとありがたい。
 書くのに専念出来るようになる↓
『執筆時間を与えてくれ/BOOTHでのダウンロード販売』
https://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/483314244.html

【短編】小説ならぬ小話集
https://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/484786823.html
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ