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52回目 いつもより遠くて深い場所

 トラックに乗って迷宮の奥へ。

 今回は自分で動かせるのもあって、いつもの乗合馬車よりも奥へ。

 常よりも深い場所という事でミナホも緊張していく。

 出て来る怪物の大半が最弱だとしても。



 迷宮の奥へ行くほど強力な怪物が出やすくなる。

 これは迷宮の鉄則と言われてるものだ。

 より深い場所まで潜る事の危険はこれにある。



 そんな奥へと躊躇う事無く進むヒロトシ。

 隣に座るミナホも不安をおぼえる。

「大丈夫なんですか、ここまで来て」

「平気平気」

 ヒロトシは気にもしない。

「なんならもっと深い所まで行った事あるし」

 とんでもない事を言う。



 だが、それなら落ち着いてるのも納得出来る。

 それもそうなんだろうとも思ってしまう。

 少なくとも違和感などは感じない。



 新人の教育とはいえ、乗合馬車の終着点よりも奥へと進む。

 それに躊躇いが無いのは慣れてるからだろう。

 でなければ、そんな所まで向かおうとは思わないはずだ。



 乗合馬車の終着点というのは、とりあえずは安全が確保された場所。

 そこよりも更に奥へと誰かが向かってる証しだ。

 そこから先に誰かが進んでおり、怪物を倒している。

 だから被害にあう可能性が低い。

 そう判断されてる。



 もちろん、通り道に警報や魔除け、地雷などが設置されてる。

 そのおかげで、危険を避けられている。

 それも事実だ。

 そういったものを無理なく設置出来るという事でもある。

 それすら出来ない所まで乗合馬車は入り込まない。



 言ってみれば、まだギリギリ安全圏。

 それが乗合馬車の終着点である。

 危険は危険だが、迷宮本来の危険にはほど遠い。



 慣れてる探索者ならば、もっと奥へ向かうものだろう。

 ヒロトシはかなり慣れてるようだし、そこを超えるのも当然に思える。

 むしろ、新人研修の時は多少は手加減をしていたのかもしれない。

(どこまで潜ってるんだろう)

 ミナホはそう考えてしまう。



 その疑問は、車が進むごとに大きくなる。

 ミナホもこれまで潜った事がないような場所。

 そこまでくるとさすがに不安をおぼえる。

「あの、大丈夫なんですか?」

 運転してるヒロトシに尋ねる。

「なにが?」

「こんな所まで来て。

 怪物とかいっぱい出て来そうなですけど」

「出て来るぞ、いっぱい」

 ヒロトシはあっさりと認めた。



「奥に行けば行くほど、怪物は増えるぞ。

 一番弱いのも」

「それって……」

「いつもより大変だ。

 何せ、本当に休みなく、寝ないで仕事する事になる」

「…………」

 絶句する。



 いつもというのは、一回につき数十体の怪物が出て来る事を指してる。

 それ以上に出て来るという。

 しかも、休み無しに戦うとも。

 魔力があればそれも可能なのは分かるのだが。

(どんだけ出て来るの……)

 想像するのも恐ろしい。



 魔力による疲労解消と体力回復。

 それが出来るとしても、延々と戦い続けるのは辛い。

 終わりがないというのは、精神的にかなりの負担になる。

 どこかで一区切りが欲しいと思うのが人だ。

 それが無いとなれば、結構な苦痛になる。



 そんな苦痛のある場所。

 そこに向かってるという事に不安をおぼえた。

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