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46回目 そして彼らはそうしていく

 新人達の何となく不満げな態度。

 それは、このやり方でいいんかという疑問も絡んでるのだが。

 そもそもの原因は、素直さの欠如によるものだ。



 更にいうならば、傲慢さなどもそこにはあるだろう。

 自分達なら上手くやれるという。

 意識してるかどうかはともかく。



 それはヒロトシも何となく感じている。

 ただ、それだけではないのも。

 どうにかしてこの状況から抜け出したいという思いは感じる。

 その為の努力も惜しまないという気概も。



 とはいえそれらは、追い込まれたから出て来たものだ。

 基本的なところでの我が儘さというのがある。

 それもヒロトシは感じていた

(こういう連中は駄目だろうな)

 そうも思う。



 ただ、変われる可能性もある。

 その可能性にかけていた。

 だからやり方を教えている。

 それでいったいどうなるかは分からないが。

 これをきっかけに色々と考えていけばと。



 それが出来なければ死ぬだけだ。

 そうなる可能性もある。

 無駄に自分のやりたいようにやって。

 なんの理もない方法を試していく。

 それで成功するならそれでも良いが。

 無理飲茶を重ねただけなら、いずれ潰えるだろう。



 そうなったならそうなったまでだ。

 ヒロトシはそれでもかまわない。

 それくらいの割り切りはしている。



 ただ、今は教えてる最中だ。

 引率中なので、出来る限りの事はする。

 やり方は伝えるし、上手くいってないなら修正の仕方もおしえる。

 成功したなら素直に褒めていく。



 実際、大量の新人達はそれなりに上手くやってる。

 不平不満はあっても、それを理由にやり方を変えたりはしない。

 実際に効果を出してるというのもあるだろう。

 その為、文句はあっても今は言われた通りにやっている。

 それならそれで十分だった。

(この引率が終わるまで頑張ってくれりゃあいいんだし)

 そこまで保てばそれで良いのだ。



 何より、ヒロトシの目的は別の所にある。

 ミナホに多人数の場合のやり方を伝える事。

 折角の機会だからそれを教えておきたかった。

 そういう意味では、今回の新人の態度も役に立つ。

「人間てのはこんなもんだ。

 素直に動く奴なんて滅多にいない」

 それを示す実例として大量の新人達は便利だった。



「今後の役に立ててくれ」

「はあ……」

 何と言って良いのか分からないミナホは、曖昧な返事をするしかなかった。

 ただ、多人数を動かす方法を知る機会を得られたのは確かだ。

 人が思い通りに動く物ではないと知る事も。

 この先どれくらい役立つか分からないが、参考にしておこうとは思った。



 そんなこんなで今度は10日間ほど迷宮で活動。

 強力な怪物も出てこなかったので、平和に迷宮から出る事が出来た。

 出来れば強力な怪物との戦闘もさせておきたかったが。

 それについては諦めるしかない。

 それは運が絡んでくる。



 それでも最低限の事は教えた。

 稼ぎもかなりのものになった。

 教えを受けた新人達は、顔色を一気に変えた。

 場末の宿に来た時は死にそうな表情をしていたが。

 今は生気に満ちた顔をしている。

 現金なものだ。

 実際、かなりの現金を得ている。



「ありがとうございました!」

 換金を終えた新人達は、そう言ってヒロトシ達から離れていく。

 金を得たらそれで終わりと言わんばかりである。

 そんな新人達を止める事もなく、

「おう、頑張れよ」

とヒロトシは見送る。



 迷宮から出て来て、新人達はヒロトシと分かれた。

 そのまま、近くの宿に向かうという。

「教えてもらった通りに今度から頑張るから」

 そんな事を言って。

 そういって意気揚々と離れていく新人達を、ヒロトシは笑顔で見送った。

 手まで振っている。



 ただ、すぐそばにいるミナホは不服そうだった。

 不満と言っても良い。

 新人達の行動に。

 それを見送るヒロトシにも。

「あの」

 だからヒロトシに尋ねていった。

 これで良いのかと。

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