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45回目 新人達の限界

 悲しいことに、ヒロトシの懸念通りの事が起こっている。

 今回やってきた新人達は、なんでこんな事をやってるのか分からなかった。

 連絡を取り合える状態がどれほど大事なのかも。

 それ以前に、なんでこんなに分散するのかも分からなかった。

(全員でまとまってやればいいんじゃないのか?)

 そう思ってる者がほとんどだ。



 今は二人一組で怪物を倒して回ってる。

 魔力があるからそれも可能だ。

 だが、彼らは彼らで頭を使っている。

 地の頭が良い者や、勘の鋭い者など。

 それらが色々と思いついていく。



 二人一組で大量の魔力を使っている。

 だったら、全員であたれば、一人当たりの魔力消費は減るんじゃないかと。

 それに、連絡とか、予備での待機。

 それも全員であたれば必要ないんじゃないのかと。

 他にも様々な事に疑問を持ち、今のやり方に首をかしげる。



 もっというなら、今のやり方にケチを付けるための理由を考えている。

 今までのやり方が本当に良かったのか。

 やらされてるこのやり方がどういう意味や意図でやらされてるのか。

 そういった事を考えずに。

 言ってしまえば、不平不満。

 ケチを付けるためのだけの考え。

 そんなものを思い浮かべている。



 そうして考える事にはそれなりに意味はある。

 何も考え無いよりは遙かにマシだろう。



 だが、考えれば良いわけではない。

 考えて最善を求める。

 何が良いのか考える。

 少なくとも、自分の知ってる様々な方法を比べる。

 何が良くて、何が悪いのか。



 新しい方法を考える事までは求めないにしてもだ。

 新手法というのは、作るのがとてつもなく難しい。

 それを思いつけというのは無理難題である。

 いきなり求められるものではない。

 だからせめて、知ってる方法の比較検討くらいは、という事になるのだが。



 それすらもせずに、ただ疑問だけをうかべる。

 浮かべた疑問の検証もしないで。

 今、新人達の頭の中で起こってるのは、まさにこれだった。



 それでも今は、言われた通りに動いていく。

 それだけの素直さを見せている。

 実際、今までとは比べものにならないほどの成果を出している。

 だから言われた通りにやっている。

 だが、やってる事の意味を理解してるわけではない。



 もちろん、すぐに意味や効果を理解出来るものではない。

 それは仕方がない。

 しかし、とにかくやるだけやって試してみようと思うのと。

 こんなの意味がないと思うのとでは大きな違いが出る。

 前者はともかく、後者のような者達に成果を期待は出来ない。



 やらされてる事の効果が出てないならともかく。

 効果の出てるやり方にケチをつけてるなら、もう救いがない。



 少なくとも、ヒロトシのやってるやり方は、今までの新人達の成果よりもはるかに大きい。

 だが、その成果も渡された魔石の魔力あってのものだ。

 この事が新人達の中に大きな疑問を発生させた。

 すなわち、「これだけの魔力があれば、今までのやり方でも上手くいく」と考えた。



 実際、魔力があればたいていの無理はきく。

 能力を強化し、怪物の群れに飛び込めばいい。

 怪我も即座に治療、そもそもとして、魔力を防御としてまとって攻撃を防げばいい。

 そうすれば、無茶苦茶な戦い方をしても勝てる。



 そういう考えは間違ってない。

 だが、それでどれだけの損害を出すのか。

 魔力の消耗はどれくらいなのか。

 収益は消費を上回るのか。

 効率的な動きは出来るのか。

 そういった問題が出て来る。



 確かにヒロトシのやってる事は、魔力の大量消費を前提にしている。

 それがあるから、これだけの成果が出せている。

 それは事実である。

 だが、それだけしか考えてないわけではない。

 勝つにしても効率よく勝つ事。

 そして、効率のために命を犠牲にしたりしない事。

 これらも含まれている。



 何より、何かあった場合に対処出来るかどうか。

 これが重要になってくる。

 万が一以下の確率でしか出てこないような問題。

 だとしても、そうした問題への対処も含んでおく。

 それがヒロトシの念頭においてる事だ。



 新人達はそれが抜けている。

 あるいは、そこまで考えられてない。

 その為、どうしても疑問しか浮かんでこない。



 ヒロトシもまだそこまで説明してないというのもある。

 そうしてるだけの余裕や時間がないからだ。

 だからこの時点で新人達が首をかしげるのは仕方がない。



 問題なのは説明などを聞いたあとである。

 それでもまだ今と同じような考えでい続けるというなら。

 もうどうしようもないだろう。



(そのあたりどうなのかなあ……)

 そう思いながらヒロトシは作業を進めていく。

 まずは目の前の問題を片付けるために。

 説明などはそれからでも良いのだから。

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