36回目 レベルアップによる外見の変化、魅力の上昇の説明になるような
(すげえなあ、本当に)
後ろではしゃいでるミナホ。
それを時折振り返りながら思う。
正直に感動する出来るものがあった。
表情が変わるだけで、これだけ印象が変わるのかと。
まあ、今まで睨んでいるような顔をしていたのだ。
それが取れただけでも大きい。
そこに、今は笑顔が加わってる。
表情が穏やかになってる。
同じ顔立ちならば、そうしていた方が印象は良い。
そうなって分かった事なのだが。
ミナホの顔立ちもそう悪いものではない。
絶世の美女とはさすがにいかないが。
だが、標準よりはかわいらしい、魅力的な容姿をしている。
そのことが分かった。
もしこれで、視力関係の治療などを施したらどうなるのか。
それらは、場合によっては骨の形や筋肉や神経などの機能にも作用する。
それらの変形や滞りを解消していくのだ。
人によっては体型や顔立ちなども変わるほどの変化をもたらす。
同じ事がミナホにも起こるかもしれない。
その事にヒロトシは期待してしまう。
(今の時点でこれだからな)
まだ機能を完全に回復してない状態だ。
表情が変わっただけである。
にもかかわらずかなり印象が良くなってる。
この調子で色々変化があれば…………どうなるのかと期待は膨らむ。
(まあ、役得役得)
ミナホの問題に気付いた。
解決の糸口をつかんだ。
その特典、役得。
今の状態をそういう風に考える事にした。
すなわち、可愛い女の子と一緒に行動出来る。
ふってわいた幸運である。
町にはびこる悪評に耐えて頑張った甲斐があったと思った。
もちろん、過去の出来事と現在の幸運にはなんの因果関係もないはずだが。
それでもヒロトシは、この状況を今までのがんばりの成果だと思い込む事にした。
信じるだけならタダである。
そして、それを見てとある事を思い出す。
前世で遊んでたゲームの事を。
RPGなどでそうだったのだが、能力値に魅力などがあった。
外見だけではなく、性格なども含めたものだという事だったが。
つまりは、外見も要素の一つとして入ってる事になる。
そして、魅力は能力値の一つとして、レベルがあがる事で上昇していく。
それが不思議でしょうがなかった。
身体能力や魔力が上昇していくのは分かる。
しかし、外見が変化するってどういう事なのかが分からなかった。
しかし、今ならそれもありえると思えた。
レベルアップが身体能力などの向上ならば。
体がもっとも正しく機能する状態になっていく事ならば。
当然ながら骨格や筋肉、体の様々な器官も変わっていくはずだ。
最も優れた能力を発揮できるように。
それにともなって外見も変化していったのかもしれない。
ゲームの事なので、実際にはどうだったのかは分からないが。
しかし、今この異世界でそれらしい現象を目にしている。
厳密に言えば、ゲームにおけるレベルアップとは違うけど。
だが、能力を最善の状態で発揮できるようにする。
その為に、体の各部分を最適化する。
それが結果として外見の変化にもつながったのかもしれない。
あくまで想像でしかないが。
だが、そうだとしたら、様々な期待が出来る。
人の持ってる能力や機能を本来のものに戻していく。
それで外見の改善も出来るようになるという事なのだから。
ミナホによってその可能性に気付く事が出来た。
それがヒロトシに大きな希望を抱かせる。
(なら、俺もいけるのか?)
そんな夢を抱いていく。
なんだかんだで、ヒロトシも自分の見てくれが少しは良くなればと思ってる。
ただ、まずはミナホである。
視力の矯正・補正に必要な魔力の確保。
それによって、普段の動きを改善する。
もちろん探索者として必要な技術や知識なども教えねばならない。
それらを怠るわけにはいかない。
そのついでに、身体機能などの回復を。
それにかこつけて、外見の変化なども確かめていければと。
そういう健全な野郎がいだく邪さを胸に抱く。
気取られないように気をつけながら。
後ろに続くミナホに警戒されないように注意しつつ、迷宮へと向かっていく。




