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27回目 他にも幾つか教えて帰宅する、増えた荷物の対処に困りながら。

 新人もヒロトシの言いたい事は分かる。

 一度やらねば分からない。

 理解出来ない。

 人間とはそういったものだ。

 だが、それでも納得出来ないのも人間というものだ。



 それでも、実際にやってみて分かった事もある。

 強力な怪物を倒すのがどれほど大変なのか。

 どれだけ消耗するのか。

 どれほど割に合わないのか。



 それが分かると、無理しないで倒す事の重要さも分かる。

 無理して接近する必要がないなら、安全地帯から一方的に攻撃したい。

 それが無理なら、せめて相手を上回る力を確保してから接触したい。



「まあ、次にああいうのに出会ったらな。

 その時は離れた所から攻撃してやってくれ」

 そう言いなあらヒロトシは実演していく。



 最弱の怪物が集まってる所。

 そこに向けて、凝縮した魔力を放っていく。

 怪物の群れに向けて飛んでいったそれは、群れの中心で盛大に爆発をした。

 魔力が弾け、衝撃と火炎が拡がっていく。

 効果範囲にいた怪物は、その全てが吹き飛ばされ、燃やされていった。

 瞬時に怪物は絶滅し、あとには魔石だけが残った。



「うわあ……」

 呆気にとられる新人。

 魔力を用いた攻撃方法は様々だが、こういったものがあるとは思わなかった。

 凄まじい威力である。

 こういうやり方で、先ほどの強力な怪物を倒せたらと思ってしまう。



「とまあ、こんな感じだ」

 やって見せたヒロトシは、そう言って新人に振り向く。

「こいつの良いところは、狙いを付けないで良い事。

 狙いが逸れても、敵が爆発の範囲にいれば攻撃出来ること」

「凄いですね」

「ああ。

 ただし、味方がいると使えない。

 それに、魔力の消耗も大きい」

 実際、今のでかなり使ってしまったという。

 100点くらいは用いただろうか。

「だから、弱いのに使うと、赤字になる」

 なので、使い所を考える必要があるとか。



 ただ、囲まれた時には便利だという。

 敵を一掃する事が出来る。

 それに、強力な怪物にも一定以上の損害を与えられる。

 一撃で倒せなくても、大きな傷を負わせる事が出来る。

 目や耳等を潰す可能性もある。

 そうなれば、倒せなくても戦闘を有利に進める事が出来る。



「使い方次第だ」

 投げ込む方向に味方がいない事。

 もったいないからといって魔力を惜しまない事。

 それが出来るなら、効果的な攻撃手段になる。

「今度、ああいうのが出て来たら試してみるといい」

「そうします。

 そんなのに出くわしたくないですけど」

「確かにな」

 もっともな話だ。



 使う必要がある状況。

 そうならないのが一番である。

 ただ、用心のために様々な手段は用意しておく。

 そうしておいた方が、生き残る可能性は高くなる。



「まあ、今回はもう出会わないだろう。

 そうそう出て来るもんじゃないから」

 数が少ないのが強力な怪物である。

 今回の遭遇は運が良い。

 誘い込む為に、魔物寄せの魔術は使ったが。

 それでもなかなかお目にかかれないのが強力な怪物だ。

「今回はもう出てこないだろうな」

 短い期間で二度も三度も出会う事は無い。



 それでも一回は大型の怪物に出会えた。

 それを倒しもした。

 新人には大きな経験になる。

 そこまで行き着く者はそう多くはないのだから。

 今回の探索で得た稼ぎも含めて、財産になっていくだろう。



 なお、前回よりも長く迷宮にこもった。

 10日間に渡り、不眠不休で戦い続け、その分だけ魔石を手に入れた。

 その魔石の魔力をまとめていく。



 魔力は魔石に移していく事が出来る。

 そうやって大量の魔石を一つに集め、持ち運びやすく出来る。

 やり方は簡単で、魔石をくっつける。

 そうしてから、魔力の移動を思い浮かべる。

 手にした者の意思に従い、魔力は移動を開始していく。



 当然ながら、その移動にも魔力が使われる。

 なので、一つに集結させていくごとに、魔力はどんどん減っていく。

 それでも持ち運びのしやすさから、ある程度まとめるのが通例になっていた。



 そうやって魔石をまとめてから外へと向かう。

 新人に最低限必要な事は教えた。

 これ以上ヒロトシが引率する必要も無い。

 その区切りを付けるために、一度戻る事にした。

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