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26回目 攻略というものの考え方の違い

 探索者達の中には、大物のボスを好んで狙う者達がいる。

 一度に得られる成果が大きいのが理由だという。

 また、強力な怪物を倒したというのは、それだけで賞賛の的になる。

 それを狙って、積極的に倒そうという者もいる。



 その為に作戦を練り、弱点を探る。

 攻略方法を確立するために努力をする。

 そうして見つけ出された弱点や攻略法が、見つけた者達の秘伝となったりもする。

 手早い倒し方は、探索者達の飯の種。

 おいそれと公開出来るものではない…………という事だ。



 ヒロトシからすれば理解不能な事だった。

 確かに弱点などが分かっていた方がやりやすい。

 効率的に倒せるなら、その方が良いだろう。

 しかし、えてしてそういった攻略法というのは、ヒロトシの考え方とは違う。



 いわゆる攻略法は、少ない労力でどうやって倒すかに焦点があてられている。

 動きも魔力も最小限に、という方法が求められていた。

 間違ってはいないし悪いものではない。

 しかし、それは危険と隣り合わせの方法でもあった。



 魔力の消費をおさえれば、その分能力の増強が出来なくなる。

 危険がその分大きくなる。

 手持ちの魔力が少ないならやむをえないが。

 しかし、強力な怪物が出て来るのは、入り口から遠く離れた場所。

 初心者が踏み込むような事は無い。

 そんな所に向かうのは、経験を重ねた者達がほとんどだ。



 言い換えれば、魔力などの余裕のある者達となる。

 大量の怪物を倒し、大量の魔石を確保出来る者達だ。

 魔力もそれに応じて潤沢な場合がほとんどである。



 そんな者達が、魔力の消費を抑えて倒そうとしている。

 可能な限り手早く、無駄を無くしていくというなら分かるが。

 それにしたって出し惜しみがすぎるように思える。



 事前に弱点などを暴いておくのは大事だ。

 それによって、狙うべき箇所が分かる。

 そこを攻めれば、戦闘は手早く終わるだろう。

 だが、そうするならば魔力を盛大に使って一気に終わらせれば良い。



 極端な話、相手の耐久力や生命力を上回るだけの一撃。

 魔力を使った爆発でも何でもいいが、それをぶつければよい。

 弱点部分が分かってるなら、それで一撃で倒せる。

 使う魔力も多くはなるけども。

 しかし、それで弱点を粉砕できるなら、一撃で全てが終わる。

 結果として、消費する魔力は、その一撃分で終わる。



 それを抑え、魔力を帯びた剣などで攻撃を仕掛ける意味が分からない。

 しかも、相手の攻撃をかいくぐって接近してだ。

 危険が増大する。

 その為に使う魔力もバカにならない。



 時間がかかればかかるほど、命の危険が増大する。

 消費する魔力も増える。

 それを効果的な攻略法というのには疑問があった。



 割に合わない。

 ヒロトシはそう思う。

 倒すまでに費やす時間も。

 使わねばならない魔力も。

 なにより、命を危険にさらす事が。

 何もかも割に合わないと思えた。



 ならば、一気にさっさと倒してしまった方がマシである。

 先ほどの巨人のように、手足を切り落として動きを止めて。

 それから弱点である首を切り落としてしまえば良い。

 相手の動きに合わせるだけの肉体・感覚強化と。

 意外と強靱な手足を切断するための武器強化と。

 それらに魔力を注ぎ込めば、かなり早く終わる。



 更に言うならば。

 そもそも接近せずに、魔力を飛ばして爆発させれば良い。

 それだけで今回戦った怪物の生命を大きく削る事が出来ただろう。

 トドメはそれから刺しても良いのだ。



 それをしなかったのは、新人に接近戦の危険性を教えるためだ。

 一度やってみなければ、どれだけ大変か分からない。



 それに、不意打ちで接近された時に困る。

 遠距離からの攻撃ばかりでは、距離が縮まった時の対処が出来なくなる。

 それも考えて、最初の一回くらいは接近戦を挑んだ。



 その上で、遠距離から攻撃した方が楽だと説明していく。

 こうでもしないと、接近戦の怖さが分からないままになってしまう。

 面倒ではあるが、やるしかなかった。



 幸いにも新人は、「割に合わない」と口にした。

 接近してみてその危険性が分かったのだろう。

 その為に使わねばならない魔力の量も。

 そうまでして倒した強力な怪物から得られる魔力の少なさも。

 割に合わないというしかなくなる。



 そんな新人だから、遠距離からの攻撃を伝えると効果的だった。

 話を聞いた新人は、心底恨めしそうな顔をする。

「先に言ってくださいよ!」

 声も大きくなる。

 しかし、こうでもしないと分からないだろと言われれば、不承不承頷く。

「まあ、そうですけど」と。

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