16回目 24時間、戦います 2
ヒロトシと新人、そして数十匹の怪物。
その激突は怪物側が吹き飛ばされる事から始まった。
「よく見ておけよ、新人」
そう言って前に出たヒロトシ。
彼は手にした棒に魔力をまとわせている。
棒自体は特に何の変哲もないものだ。
木製の、180センチくらいの長さのもの。
棒術などで使われるものだ。
一応、人の手による加工はなされている。
だが、使い方次第では恐るべき武器にはなる。
そんな棒を握って、ヒロトシは左右に振り回していった。
ドスン。
そんな重い音が棒と怪物の接触面から響く。
続いて、怪物が宙を舞う。
そのまま怪物は壁まで飛んでいく。
通路の幅はおよそ6メートルといったところ。
車二台が並んで走れる道路くらいだ。
それくらいの幅の所に二人は来ていた。
様々な道幅のある迷宮内にしては、やや狭い方だろうか。
そんな幅なものだから、吹き飛んだ怪物はそのまま壁に叩きつけられる。
それがまた衝撃になって怪物を襲う。
致命傷にはならなくても、かなりの痛手になってるようだ。
動きが明らかに鈍っている。
「そいつらに止めをさせ」
新人にヒロトシの指示が飛ぶ。
言われて新人は、飛ばされた怪物に向かい、手にしたナイフを振りおろしていく。
それは怪物の頭に突き刺さり、その勢いで粉砕していった。
それも魔力によるものだった。
ナイフにまとわりつかせた魔力が威力を上げている。
加えて、肉体の強化の効果もある。
それがナイフを普通ではない速度で振りおろさせる。
ありえない程の速度が勢いになった。
それこそ、怪物の頭が粉砕する程の。
それを新人は何度も繰り返す。吹き飛ばされた怪物の数だけ。
怪物は次々に頭を刺し貫かれ、粉砕されていく。
戦闘と言えないような戦闘は、あっという間に終わっていった。
もう片方の壁に吹き飛ばされた怪物も、ヒロトシに止めを刺されていく。
まともに動けない怪物は的でしかない。
そんな怪物を、容赦なくヒロトシは潰していった。
そして怪物は靄のように消えてなくなり、魔石を残していく。
その魔石を回収して、ヒロトシ達は動いていく。
怪物を求めて。




