「結末」への道程
ふと、思う
恋人を喪うのと
片恋の相手を喪うのと
どちらが辛いんだろうと
きっと恋人を喪うのは
とても辛いんだろう
でもそれは、成就した恋が
強制終了させられてしまったもの
誰に責任があるでもない
しばしその想いに殉じて
その後に新しい恋を捜しに行ったとして
それは誰にも責められるものでは無い
しかし、それがもし片恋の相手だったら
それは、その恋が永遠に
実ることがなくなったというだけでなく
それが強制終了される事も
なくなったという事を意味する
だって、もうあの人は他の誰とも
結ばれる事が無いんだから
その恋は
恐らくは私以外の誰も知らないその恋は
終わらせられることがない
私以外の誰の手によっても
私があきらめた時
もういいやって、放り投げた時
その時、その恋は終わりを告げる
そしてその時が来るまでは、ずっと
私の心の中に居座り続けるのだ
でもきっと、私の心は
私が私の恋を終わらせることを
許さないだろう
それは誰に転嫁できるでもない
私自身の決断、私自身の責任なのだから
あきらめさせてもらえる
そんな機会ももう失われてしまっているのだから
だから、私は今日も確かめる
私がまだあの人を好きでいるということ
私の恋がまだ枯れてしまっていないということ
繰り返し、繰り返し
心の中でつぶやき続ける
私はまだあの人の事が好きなんだって
それでも、私だって判っている
この気持ちが永遠には続かないって
毎日どれだけ確かめていても、それでも
ふとした時
あの人と初めて出会った日とか
あの人と初めて言葉を交わした日とか
あの人を失った日、
そして私が歳を取る日
そうしたきっかけで振り返ってみると
私が―私の心が変わってしまっていることに
気が付かないわけがない
だからこそ、私は精一杯にあがく
その「結末」の日が一日でも先になるよう
私の心の中に咲いていた想いが
永遠に続かないものだとしたら
それをドライフラワーにしてでも
その姿を少しでも長く留めようと
そして、いつの日か
私が全てをあきらめて
受け入れられるようになった時
はたして、私は私自身を許して
あげることができるのだろうか
さて、読み手であるあなたには、この結末をビターエンドぐらいに評してもらえるでしょうか。