第7話〜少女の過去、出会い〜
過去回想という名の佳奈視点をどうぞ。
視点は、佳奈です。
「ーーーじゃあ、佳奈ちゃん…うちが先に行くけど。大丈夫だよね?」
昨日の会議も終えて1日経って、えっちゃんが向こうのえっちゃんを連れていくって時に心配するような表情で言われた。わきまえてるって言ってるのに。
「やけど、4日前のあの様子だとね。ばり心配なんよ?」
「心配ご無用だって!透過化使ってその人の事見てみるし、もしもあいつと同じだったら、頼まないし姿を表さないよ!って4日前にも言ったよね。」
「なら、いいんやけど。ってもう時間やん!じゃあ、1週間後に悪魔撲滅部隊小倉支部に来てね!」
「わかってるから。って聞いてないか。」
いそいそと、えっちゃんはパラレルループをもって、姿を消した。向こうの世界の滞在期間は1週間、その1週間で向こうの兄さんが良い奴かそうじゃないかを見極める…その際にあいつと一緒だったら絶対に頼まないんだから。
「さてと、私も行きますか…」
「佳奈ちゃん。」
行く準備も終えて、行こうとしたらさっちゃんに呼び止められた。また言われるんかな?
「お菓子は300円までだからね?」
「今言うこと!?」
私が思ってたのと斜め上を行く言葉にツッコミを入れた。なんで今言うのよ!?
「冗談冗談!じゃあ…頑張ってね?それと絵里の心配性は今に始まったことじゃないから、うちからは何も言わないよ?」
「うん…さっちゃん。ありがとう。行ってくるね?」
「行ってらっしゃい〜」
さっちゃんに見送られながら、私はパラレルループのスイッチを押した。
ーーーーーーー
それから1週間が経った………結果としてあのクソとは全く持って違うという事がわかった。魔王がいないからなのか、そもそもこの世界普通世界が平和(とは言っても、どこかの国では紛争や戦争の真っ只中)だからなのか、宮川奎汰は身体を鍛えているものの普通の人だ。
「え?今日大和も用事あんの?はぁ…まぁいいか。じゃあな。」
この世界の宮川奎汰は電話を切り、ベッドに突っ伏した。あぁ、私?透過化使って、窓の外から見てるよ?隣に師匠もいるけど。
「どうするつもりじゃ?」
「どうするつもりって…このまま出るしかないでしょ?」
「…いいこと思いついたのじゃが言ってもいいかの?」
師匠はイタズラっ子のような顔で私に聞いてきた。爺さんなんだからそんなにキラキラした顔しなくても。
「…一応聞くけど?」
「わしの光魔法であの部屋を光らせて、お主が出るのはどうじゃ?」
「…師匠らしい驚かし方ね。ってかさ本当にあれでいいの?連れてくる理由」
「それが手っ取り早いのじゃよ。本当の事を伝えても意味ないのじゃ。」
1週間前に師匠からあの人を連れてくる理由の説明を聞いた、それは…
「兄さんが、魔王に連れ去られたの…か。はぁ…気が引ける。」
「あやつに本当の事を言っても混乱するだけじゃて、本当の事は今日連れていった後でいいじゃろう。」
「うわ、さらに気が引けるんだけど。はぁ…師匠、お願い。」
「任されよ!」
師匠は私が言った瞬間に、光魔法…眩い光を出した、ーー眩い光ってまんま名前だと小さな時の私は思っていたーーあっちの兄さんは驚き光を見ていた。その瞬間に私は中に入り、透過化を解いて、兄さんの前に出て、こう言った。
「はじめまして!こちら側の兄さん!!」
兄さんは言葉を出さずにこちらを見ていた。まぁ、いきなりの光が発せられたり、私のような美少女が現れれば、驚くのも無理ないか。自分で美少女って言うとなんかむず痒いけど。
「あれ?聞こえなかった?あってるはずだよね?宮川奎汰さん?」
私は呆然としてる兄さんに向かって、ニヤッとして兄さんの名前を呼んだ…あいつを思い出すけど、目の前の人はあいつじゃない。そう顔は似てるけど、性格が違うんだ。
「何故俺の名前を知ってる?俺はあんたの事知らないはずだが?」
兄さんは、警戒をしながら聞いて来た。それもそうか知らない奴からなんで名前を知られてるのか、私もそっち側だったら、警戒するしね。私はそんな兄さんに笑顔で言ってのけた。
「あぁ…警戒するのは無理もないね。大丈夫!私はあなたに害を与えないよ!」
私がそう言うと兄さんは少し警戒心を解いた。なんかチョロいな。あっ、絶対今チョロいとか言うなよとか、思ってるな。本当に1週間見てたけどわかりやすいこの人…
「あのさ、何で俺の名前を知ってんだ?お前って誰なんだ?」
あっ、そういや、名前言ってなかった。私が一方的に知ってるだけだし。そりゃそうか…ははは
「あっ、ごめんごめん!自己紹介するの忘れてた!ごほんっ。私は遠藤佳奈!兄さんの妹だよ!」
まぁ、これで何もないはず、警戒心はまだ解けてないから、すぐにでも受け入…
「病院行くか?」
れられてくれなかった。それも冷静に失礼な事も言われた。私が精神病に患ってるとでも言うのか、っていうか
「そういう返しは良くないと思うよ!!」
私は必死になって、そう言った。だってそう思われたくないし…
「いや、そういう病気なのかと」
「それはない!?」
絶対にそれは無い!何でこんなに冷静ボケを重ねられんの?っていうか私普通にあいつに似てるこの人と話してる…
「まぁ、半分は冗談だ。それで?お前はなんでここに?」
半分は本気なの?まぁ確かにわけわかんないよね?私は平行世界にいるあなたの妹だと話したら、一瞬納得仕掛けたけど、驚いていた。ははは…そりゃ漫画やラノベ系じゃあるまいしね?
「お前本気で言ってんの!?いや、いいやとりあえず病院行こうか。」
なんて言って、私の腕を掴み取り歩こうとした。って!?
「まだ信じてないの!?いやほんとなんだって!!」
「ホントかどうかは診察してからな」
マジで信じてないみたいだから、私は自分の足に足枷の魔法をかけ動けないようにした、足枷の魔法を自分にかけなくてもよかったかもしれないけど。そしたら。
「動かない…だと…」
兄さんは、どっかの死神のような台詞を吐きながら、驚いていた。魔力を見せたら、信じてもらえるかも知れないしね。私は少しドヤりながらこう言った。
「残念でした〜私は今魔力で足を固定しているので動かせません〜!」
そう言うと、兄さんは不服そうにこちらを見ていた。
「だから聞いてって!話を聞いてからでもいいでしょ!」
この言葉を聞いて兄さんは考えていた。まぁ何を考えてるのかはまた丸わかりなんだけどね。本当にこの世界の兄さんは、表情がわかりやすい。あいつは…そういえば昔から表情を一つも変えないで、貼り付けた笑顔をしていた気がする……やめよう…今あいつの事を考えると、ちーちゃんを思い出すから…今は目の前にいる兄さんだ。
「わーったよ」
兄さんは、仏頂面のままそう言ってくれた。根は優しいんだね。仏頂面だけど。
「で?お願いって言うのは?」
「ふう…やっと話を聞いてくれるようだね。」
変なキャラになってしまった。あっ、キャラ違うぞおいって思ってるね。大丈夫私もそう思ってるから。
「だから。なんなんだ?話っていうのは。」
…師匠が用意したあの筋書きってほんとに無理があるよね。心苦しいけど、言うしかないか〜ものすごく不服なんだけどね。あいつを兄さんって呼ぶの。何でこの世界の奎汰は兄さん呼びか?なんとなくだよ。ほんとに。
「兄さんが攫われちゃったんだ向こうの魔王に…」
落ち込んでる演技はできてると思う。兄さんは、その様子を見て驚愕の顔を浮かべた。どうやら上手くいってたみたい…罪悪感がすごいんですけど、師匠。
「魔王…何で魔王なんかいるんだよ?」
まぁ確かにそこにも疑問を持つよね、当たり前だけどさ。まぁこの人もラノベ系とか見てる人だし。魔王と聞いて、心做しか目がキラキラしてる。自分は気づいてないみたいだけど。
「実はこっちの世界には魔物や悪魔、妖怪がほんとに存在してるんだ。」
「それってパラレルワールドって言うん?」
ごもっとも。私もここに来た時そう思った。この世界では悪魔とか妖怪がマジモンの空想上の生き物として扱われ、会ったという噂はあれど、そのほとんどが見間違いが多かったみたいだしね。
「んー学者の発表では、宇宙から来たDNAか何かが隕石と共に来たからこうなったって。」
その学者は、何を隠そう師匠で時には学者。時には魔道の師匠。またある時は千の魔術師と顔をいっぱい持っている。まぁ私の世界のみんなは全員知ってるわけだけど。
「なるほどね。それで何でさらわれたんだ?」
納得はや…納得されなかったらやばかったし、いいけど。チョロいよ…まぁ攫われた理由も筋書きが書かれている。師匠、本当に罪悪感と背徳感いっぱいなんだけど…
「兄さんは油断してたんだ…魔王と戦ってた時に魔攻封じの鎖が身体中に巻き付けられて魔力を封じられてそのまま為す術なく…」
よくもまぁ、師匠はこんな事を思いつく。まぁイタズラ好きの師匠だからそうなんだけど。それにしても、我ながら演技力も長けてるなぁ。罪悪感しかないけどさ。
「…そうか…でも何で魔王となんか戦ってたんだ?」
これに関しては、悪魔殺しの事を言った。あいつは中身はどうであれデビルスレイヤー最強候補だったわけだしね。まぁ鋼の錬〇術師のあれと立場的に一緒だけど。
「国家公務員…ハガ〇ンみたいな感じだなおい」
「ははは…それは言っちゃダメって…それと兄さんが攫われた時に言われたんだ。『あっち側の俺に助けを仰げ』ってさ」
「はっ!?」
私の言葉を聞き、兄さんはさらに驚愕した。そりゃ驚くか、でも魔力云々は向こうに行ってから話す予定だからそこは言えなかった。
「他の平行世界の俺ってことはない?」
「うん、それは無い。だってこっちの世界しか交流はないし。ここ以外の平行世界とは関わってない。」
兄さんがそう聞いてきたので即答した。他の平行世界とは全く交流してないって政府も言ってたし、ホントかどうかは知らないけど。
「何でだ?もしかして、この世界と向こうの世界は交流してんの?」
おぉ!そこにも気づくとは流石アニメ好きわかってるねぇ。
「そうそう、お察しの通りこっちの政府とそっちの政府は繋がってて、平行世界旅行機っていうのを作ったんだ。こっちは流行してんだけどそっちはまだつくってる途中みたいなんだ。」
流行はしてるというよりしてたの方が正しいか、使ってる人は最近見てないし。
「そっちは交流してるって知ってんのか!?」
兄さんはさらに驚いた様子で聞いてきた。やっぱこっちはまだ公表してなかったんだ。いくらパラレルループがないからって、何でもかんでも隠したがる政府に疑問を浮かべるなぁ…まぁ私もその政府の狗なわけだから、そんなこと口で言ったら軍法会議にかかるから言わないけど。
「うん。数年前に発表されたんだ。」
そう言ったら、兄さんは私の持ってるパラレルループを見ながら1人納得していた。何に納得したのか知らんけどね。って話し込んでるうちにすごく時間オーバーしちゃってる。急がなきゃ。
「じゃあ、そろそろ行くよ?」
ちょっと強引だけど、兄さんの腕を掴んでそう言ったら。
「ってやっぱ拒否権はねぇの!?」
「うんない〜!」
「えぇ…」
私がキッパリ言うと、兄さんは諦めたのか、わからないが頭を掻きむしりながらこう言ってくれた
「…わーったよ。行きゃいいんだろ行きゃ。」
兄さんは顔をそらしながら、ぶっきらぼうにそう言ってくれた。なにこれツンデレ?素直じゃないなぁ。それと師匠はいつの間にか消えていた。まぁ今更だけどね。
1話の佳奈視点どうでしたか?1話の佳奈は、こんな感じです。過去回想は、2話の途中何故絵里があういうキャラをしたのかまで続きます。回想というか1話2話のヒロイン側の視点になってますねいつの間にか。ちゃんと、5話の佳奈と奎汰のところに戻ります。




