第6話〜少女の過去、怒りの涙〜
前回の佳奈の回想の続きです。
視点は、佳奈です
「ーーーやっと告るんだ。」
いじめの件から3年が経ち中学2年。兄さんとヤマ兄達が卒業した日だった。千春から、兄さんに告白する事を言われた。千春は昔から、兄さんの事を好きだったからいつ告るんだろうと思ったけど、今日するのか〜
「うん、だから今日家に遊びに行くね!」
「わかった。でも、私は任務があるから、一緒に行けないよ?」
中学に入る前、私や千春、ヤマ兄やえっちゃん達は、悪魔殺しの資格を取得していた。中学二年になってから、任務が入るようになっていた。兄さんは既に悪魔殺し最強候補に成り上がっていた。それと私達とは直接関係ないけど、2年前にパラレルワールドと交流していた事が日本政府から発表された。それにより平行世界旅行機という機械が発売されていた。私は持ってないのかって?持ってるよ。安かったし。
閑話休題
「ああ!!そうだった…えっちゃんに頼もうかな。一緒に来てもらうの。」
「残念。えっちゃんもヤマ兄も、さっちゃんもミナちゃんもはるっちも、楓ちゃんも任務があるよ。二人きりになったことあるでしょ?大丈夫。ちーちゃんは可愛いんだから!もし兄さんが断ったら、氷の爆撃をお見舞いしてあげるから。」
私は、氷の爆撃を出すふりをしながら、ちーちゃんにそう言った。
「それ奎兄でも死んじゃうよ!?」
「悪魔殺し最強候補が私の魔法に負けるなんてありえないし。千春、あんたは可愛いんだから自信持ちなって。
「うぅ…わかったよ〜」
千春は、少し涙目で言った。やっぱ千春可愛いなぁ。もし断ったりしたら、本当にアイスショットお見舞いしてやる。
「じゃあ、頑張んなよ」
「うん!いい報告するからね!!」
「うん!」
千春は、笑顔で走って手を振りながら、この場から去って行った。これが最期の会話となるとは、私は思ってなかった…
ーーーーーーーー
「ただいま」
任務も終わり、私は家に帰ってきた。それほど難しい任務ではなかったので思ったより早く終わったんだ。
「兄さん〜?いないの?」
家の中は薄暗く、明かりもついてなかった。私は明かりをつけるため歩いた。すると。
ベチャッ!
「何?水?」
明かりをつけようとした時に水か何かを足で踏んだ。なんなのこれ?私は気にせずに明かりの電源まで歩いた。でも…
どん!!
「痛、何これ?」
何かにつまずきコケてしまい、少し苛立ってそれを見た。
「兄さんが置いたの?」
両親は夫婦揃って、海外に仕事に出ていたからこの家にいるのは私とあいつだけ、だから私はそれを見て思った。
「まぁいいか、明かり明かりッと!」
私は、考えを捨て、明かりをつけた。
「……え?」
そこには、血だらけの誰かの身体があった。私がさっき踏んだのは水ではなく、…血だった
「いやぁぁぁぁぁ!!!!」
私は叫び、コケた。手を見ると血がへばりついていた。すると廊下から足音が聞こえた。出てきたのは…
「…帰ってたの?佳奈」
兄さんだった。私は死体の事を言った。
「に、兄さん!い…家の中に誰かの死体が!!」
「知ってるよ。だって… そいつを殺したの僕だし」
「……え?」
兄さんは笑顔でそう言った。そう笑顔で…虫を殺したかのような感覚。何よりその笑顔に私はぞわりと寒気と恐怖心が襲った。
「な…何で!」
「だって…そいつ。 告白してきてウザかったし」
「告…白?…まさか!!」
「うん。そいつは千春…ほらここに顔もあるし〜よっと。」
兄さんは、さっきから持ってるモノ…千春の顔を蹴って私の前に寄越した…千春の顔は絶望しきっていた。告白を断られたからなのか、好きな人に殺されたからなのか、わからないけど…私は憎悪が沸いた。親友をこんな事されて、さっきまでの恐怖心も消え失せ、私はこの男に向かって、魔法を当てた。
「氷の爆撃ッ!!!」
「ファイアウォール」
この男はさっきから貼り付けたような笑顔で、私のアイスショットは溶けた。
「ひどいなぁ?実の兄に向かって〜」
「どの口が言ってんの!あんた!」
私は、睨みつけながら、そう叫んだ。兄さんはため息を吐いた。
「これだから人間は嫌いだよ。」
兄さんは、見下した顔で私の方を見てきた。人間が嫌い?
「それって、どういう事よ!!」
「その言葉の意味通りだよ…僕は人間が嫌いだ。ね?リリー?」
「……」
兄さんに気を取られて、そこを見たら魔王…本名リリー・アンクレオ・サタン、この世界魔空世界はその名の通り悪魔を没頭に妖怪はもちろん、空想上の生き物が存在している。目の前にいるリリーは、その悪魔の頂点に立つ…女の魔王。私と同じ位の見た目、魔王は何も言わずにこっちを見てきた
「…それ一応妹です。」
「…そう」
「愛想ないなぁ。そんな所も敬愛してるけどね。悪魔撲滅部隊日本の本部に用事あるから行くよ」
「……」
兄さんは魔王の手を掴みどこかへ行こうとしていた。
「待ちなさいよ!!」
私は叫んだ。今こいつらを行かせるとバスターズ本部がやばい事になると思ったから、でも魔王は私の方にやってきた。何か言われるのかと思ったけど、違った。
「…助けて。」
「え?」
「リリー。そんなのほっといて行くよ!」
兄さんは聞こえていなかったのか、さらに魔王の手をひこうとしていた
「あ、あんたは!!悪魔殺しでしょ!!何で悪魔なんかといるのよ!!」
私はそう叫んでいた。
「今のでわからないの?ほんとに愚かな妹だね。はぁ…最後だろうし。言っとくけど、僕は悪魔殺しが昔から嫌いだし、なんなら人間なんてもっと嫌いだ。」
「あんたは!昔から悪魔が嫌いって、この世界を平和にするって言ってたじゃない!!」
「そんなの嘘に決まってるだろ?信用させるために、そう言ったんだよ。僕は小さい時にこのリリーさんに命を救われてね。その時からだったかな。僕が魔王様に心酔し、悪魔だけを愛するようになったのは。」
「…な!」
昔から、兄さんは悪魔が嫌い、悪魔殺しになって、この世の全ての悪魔を駆逐するって、どっかの漫画の主人公な事を言い続け、3年前にデビルスレイヤーの資格を取得して、そこからは片っ端から悪魔を潰してきた。…のはずなのに。
「殺すと見せかけて、別空間に移動させてから、その死体に似た人形をそこに置いてから本部に報告してたから今の今まで騙してきたんだよ。なのにさ…今日そこのやつに告白されて、虫酸が走ったよ。嫌いな人間に…ゴミクズに好意を寄せられていたなんてさ〜」
ゴミを見るような目で、千春を見ていた…こいつは…本当に…ッ!
「…行かないの」
「おっと、さっき僕が言ったのに、ごめんね、リリー」
「…別に。」
「ありがと…じゃあ…バイバイ…愚かなる妹よ。もう二度と会うことは無いだろう。」
「待て!!」
兄さんは、手をかざすと割れ目ができた。
「待つわけないやん。」
私は追いかけるように割れ目に近づいたが一歩間に合わず、届かなかった。
「くそ!!…ち…ちーちゃん…!う…う…ぁぁぁ!!!!」
私は泣き叫んだ。千春を殺された事も、兄が魔王を敬愛していた事が発覚した事に…何より自分の非力さに…
「ああああああああぁぁぁぁ!!!!!」
ーーーーーーーー
「ーーーーーな!佳奈!!」
いつの間にか、気を失っていたのか私は目を覚ました。そこにはヤマ兄とえっちゃんがいた
「何があったの!!それに…うっ…」
えっちゃんが聞いてきた。そして死体を見て吐きそうになっていた。
「…兄さんが…あいつが千春を…殺した…」
「「…ッ!!」」
「…あいつは魔王を敬愛してるって言ってた…」
私は兄さんと魔王と何があったのかを、2人に話した。2人は徐々に怒りに満ちた顔になっていった
「…あいつはそう思っていつも俺達といたのかよ…ッ!!」
「許せない…何よりうちらを裏切った!!」
えっちゃんと、ヤマ兄は憎悪を含めた表情になっていた。魔力も溢れていた。
「……本部…本部は大丈夫なの?」
「バスターズ本部は、今んとこ無事…ごめん。電話だ。もしもし?」
ヤマ兄に本部を聞いたけど、電話が鳴りヤマ兄は一礼してから、電話に出た。嫌な予感。
「……ああ…わかった。お前は気をつけて、家に帰れ。悪魔に見つかるなよ。じゃあな…湊
本部が襲撃され、本部長が死亡。重軽傷者多数だそうだ。」
ああ…どうやら嫌な予感は当たっていたみたい。
「そしてこう言われたそうだ『僕は魔王と共謀して君達ゴミクズを駆逐する。遠藤奎汰!よろしくね。』とな…」
それはいかにもな宣戦布告…
『…助けて』
魔王は助けてと言っていた。でも何で?共謀して人間を排除するなら、敵である私に助けを乞う?
「どうした?」
ヤマ兄は黙っていた私に声をかけてきた。ヤマ兄やえっちゃんには言った方がいいか。
「…あいつと一緒にいた魔王が、私に助けてって言ってた。」
「…どういう事だ?奎汰は敬愛してるって言ってたんだろ?その魔王本人が助けてとは…」
「…奎汰は共謀して本部を襲ったんでしょ?騙す為の嘘じゃない?」
「そうかもしれないな。本部は今大混乱してるみたいだ。奎汰と魔王はすぐに消えたが、七つの大罪が暴れてる。」
「七つの大罪!?そんな!うちらも行かないと!」
七つの大罪は魔王の配下で普通の悪魔より強い7人の悪魔達、私レベルでは勝てるか勝てないか分からないけど、ヤマ兄とえっちゃん達なら倒せる。
「今行っても間に合わない。」
「…何でこんな事に…」
「あいつの計画だろうな。あいつはこの時の為に今までやってきたんだ。」
「…私はあいつを許さない…!!それにちーちゃんの気持ちを踏みにじって!挙句の果てには殺した!!」
「佳奈…」
「佳奈ちゃん…」
私はまた涙が出た。これは悲しみの涙じゃない。これは怒りの涙。私は涙を流しながら、2人に誓う
「私があいつを殺す!!!この手で!!復讐するんだ!!後悔なんかしない!!」
そう宣言した。千春の無念を晴らすためにも。
「俺も手伝う…しかし今のままでは分が悪いな…」
「確かにね…。あっ…そうだよ!これがあるじゃん!」
えっちゃんが指さしたのは、平行世界旅行機何でそれを?
「向こうの奎汰に「それは無理あるだろ?佳奈があっちの方の奎汰を殺しかねん」そうだよねぇ。」
えっちゃんの提案はヤマ兄に却下された。って!
「流石にそこまでしないよ。私が憎いのはこっちのクソだし。」
「保証できるのか?」
「向こうのがこっちと一緒でクソだったら頼まない。」
「それがいいかも…ってそろそろちーちゃんをどうにかしないと…このまま放置じゃ可哀想だし。…あっ。」
えっちゃんは何かに気づいたのか、顔を青くした。
「どうした?」
「ご両親になんて言うの…?」
「…正直に言うしかないだろ…」
「私が行く…恨まれる覚悟はあるし…」
「行くしか…ないか…」
「そう…ね。」
私達は、少し気を沈んだ風に家から出た。
ーーーーーー
重い足取りのまま、千春の家に着きチャイムを鳴らしてから千春のご両親が慌てた様子で出てきた。嫌な予感をしてたんだろう。それで千春の遺体を見た瞬間、千春のお母さん…三原美晴さんはショックのあまり倒れた。
「ーーーーーだれが千春を?」
美晴さんを抱えながら、三原嘉人さんは真剣な眼差しで聞いてきた。少し魔力も漏れてる。
「…奎汰が…千春を…」
「け…奎汰が!?」
嘉人さんは驚いた様子で、こちらを見た。私達は幼馴染、つまり家族の方も幼馴染でなんでも曾祖父ちゃんやひいばあちゃんの世代から続いてる幼馴染関係らしい。
「……恨まれる覚悟でここまで来ました…うちの愚兄が…ち…千春を…」
私は、意を決してそう言葉に表した。また涙が出てきた。
「……佳奈ちゃん…俺達は君を恨んだりしないよ。」
「で、でも…」
「確かに、奎汰は君の兄だ。だがこの子を殺したのは奎汰本人だそれにな…」
嘉人さんは微笑みながら、手を私の頭に乗せながら言ってくれた。
「君は千春の親友だ…親が娘の親友に恨みを抱く…そんな馬鹿げたことはしないよ。」
「よ、嘉人さん…でも美晴さんは…」
嘉人さんにそう言ってくれたが、美晴さんはわからない。
「美晴もわかってるはずだ。ヒステリックに叫んでも、何も始まらないってな」
「…嘉人さん…俺達は…」
ヤマ兄がなにかを言おうとしたら。
「…ははは…嘉人さんには分かっちゃうか…」
嘉人さんに抱きかかえられていた美晴さんが目を覚まして、そう言った。
「…佳奈ちゃん…嘉人さんが言ったように私達はあなたを恨まないわ…あなたは千春の親友だし何よりそんな事をしたら、千春に怒られちゃうしね。」
美晴さんは、嘉人さんがしたように私の頭を撫でながら、そう言ってくれた。私は涙が溢れ出した。
「本当に…うちの愚兄が…ごめんなさい…」
「君が謝ることじゃない…釐や裕美に連絡をしてくるよ。」
釐というのは私の父親でさっきも言った通り海外にいる。パパ…ママ…
「君達も帰りなさい。もう遅いわ。」
「「「はい」」」
私達は、そう言われ、三原家を後にしようとしたら…
『千春ぅぅぅぅぅぅ!!!!うぅ』
美晴さんの泣き叫ぶ声が聞こえた…その声を聞きながら、私達は今度こそ家に帰った。
ーーーーーー
本部襲撃及び千春が殺された日から3日たった。今私達は、千春の葬式が終えてヤマ兄の家に集まって今後の話をしていた。この日ははるっち、ミナちゃん、楓ちゃん、さっちゃんもいる。
「お前らは、軽傷だったんだな?」
「何とかね。七つの大罪は一通り暴れたらどっかに行ったし」
「日本本部は大打撃よ。本部長も死んで、副長は意識不明の重体。他にも死亡者。重体者や重症軽傷者と。」
はるっちが安堵した様子でそう言い、楓ちゃんは本部の事を言った。
「はぁ…やっぱり絵里の言う通り、向こうの世界から奎汰を呼ぶか…」
「でもさ。向こうの奎汰を呼んでも魔力がなかったら、何も意味無くない?」
ミナちゃんの言うことももっとも、魔力がなければ、ただの役立たずだしね。
「その事だが…先生に頼んで、奎汰とその他7人に魔導の力があるか、調べてくれと頼んどいた。」
「先生に?」
先生…それは私達にとっての魔導の師匠で本人曰く1000歳は越えてるとの事。名前は千之丞昭武
「その頼みも昨日にしといたから、今日には…」
「できとるぞ?」
「「「「「「!!!」」」」」」
ヤマ兄が言った瞬間に先生がでてきた。先生は驚かすのが好きで毎回いつも驚かされる。っていうかやめて欲しい。命がいくつあっても、足りないし。
「先生!!いつも言ってますよね!いきなり現れないでって!!」
「ほっほっほっ…驚く姿を見たいだけだもん。」
「じじいがもんってつけるな。それで師匠。結果は?」
「結果からして、奎汰と絵里は高魔力。大和、湊、春香、千春、楓子、さくらは低魔力じゃな。この世界とあの世界は綿密に絡み合ってるからの…奎汰の魔力が反映して、向こうの奎汰にもその影響があるのじゃろう。絵里の場合も一緒じゃ。大和が低いのは、元々大和も魔力が低いという理由じゃな」
師匠の言葉を聞いて私は一つ疑問に思った。それは…
「師匠…向こうには私がいないんですか?」
「…平行世界じゃからなの。向こうでは奎汰が末っ子じゃ。」
「って事は向こうには姉、もしくは兄がいるってことですか。」
「その通りじゃ。8歳上の姉、4歳上の兄が向こうには存在しておる。そして何より、裕美ちゃんが離婚して、宮川性になっとる。」
「…もしも世界すぎてて、何だか現実感がない…」
私が存在しない…そして兄が末っ子で姉兄両方が居るそんなのを急に言われても現実味がわかなかった。今の私はあいつを兄とは思えないけど。
「確かに、お主は存在しておらぬ。しかしの向こうの世界とこちらの世界の共通点は一つじゃ」
「…うちらが奎汰の幼馴染な事?」
「そうじゃ。じゃから、この世界とあの世界は綿密に絡み合ってるのじゃ。遠藤家だけ違うが、あの世界の松村家も、山内家も、青橋家も、品薔薇家も、星岡家も、皆川家も、あの世界存在しており裕美ちゃんを見捨てんかった。釐がいなくなって裕美ちゃんは寂しく思ったろうな。奎汰が中2の時に再婚しよった。」
「まぁママが、幸せなら私は何も思わないよ。所詮は他人だしね。」
それを言ったら心が痛んだ。うわ、私の心は正直だ事。
「まぁ今の聞いて、連れてくるのは、奎汰、絵里ってのは決定だな。」
「だね。それで誰が連れてくるか…パラレルループ持ってる人ってこの中で何人?うちは持ってないけど。」
「俺は持ってない。行くことないと思ってたからな。」
「うち持ってる。」
「ウチも持ってない。」
「私は持ってないよ〜」
「私も持ってないね。」
「私持ってる。」
持ってるのは私とえっちゃんだけだった。あれ?みんな持ってなかったのか
「じゃあ…行くのは絵里と佳奈だが…」
ヤマ兄はそこまで言うと押し黙った。多分考えてるんだろう。どちらに向こうのあの人の所に向かわせるのかを…こればっかりは…
「私が向こうの兄さんところ行くよ。」
私がそう言うと、みんながこっちを向いた一斉にこちらを向いてきたのでビクッとなったけど。
「…3日前も言ったが、殺さないよな?」
「だから、そこはわきまえてるって!」
「はぁ…まぁいいか…師匠がついて行くことになってるしな。」
「うむ。それとじゃ、魔王の事なんじゃがの。」
師匠には魔王の事も頼んでいた。助けての真意もわからなかったし。
「わしの知り合いの悪魔に聞いたのじゃが、あやつは奎汰弱みを握られておった。」
「「「「「「「は?!」」」」」」
魔王を没頭に悪魔は誰もが知ってる通り人間嫌いで有名なのに!?っていうか!
「師匠、悪魔に知り合いいるの!?」
「言っておらんかったかの?というか、悪魔が人間嫌いというのは真っ赤な嘘じゃ。悪魔殺しの事は嫌っておるがの。」
「でも、俺達人間全員は悪魔は人間を見下してるって知ってる…」
ヤマ兄の言う通り、悪魔族は人間を嫌っているし。私が戦った事ある悪魔も私の事を見下していた。
「リリーの先代はバリバリ人間嫌いじゃったからのそのイメージが強かったのじゃろ。今代リリーは嫌っておらんらしい。七つの大罪の3人の過激派とその一部の悪魔は先代魔王の意思を尊重しとるらしいの」
「…そういえば、本部で暴れてた七つの大罪の憤怒、傲慢、暴食だけだった!」
はるっちが、思い出したように、言った。
「嫉妬、色欲、強欲、怠惰は、穏健派じゃし。それにわしの知り合いはその4人でもある。」
「へぇ…っていうか人間が嫌いなのが嘘なのをなんで言わないの?」
「…言えないんじゃよ。先代魔王…グレリオル・アンクレオ・サタンが死ぬ時にそういう呪いをかけたそうじゃ。」
「…師匠は知らなかったの?」
「残念ながら、エンヴィーに聞くまでわしも悪魔は人間嫌いと思っておったからの。」
1000年も生きてる師匠ですら知り得なかった情報かぁ。
「それでじゃ、湊」
「何?」
「お主の龍帝をパンデモニウムに偵察に向かわせてほしいのじゃ。あやつ…奎汰はどんな弱みを握ってるのかを知りたいのでな。」
「エンヴィーに聞けなかったの?」
「エンヴィーも相当焦っていたのじゃろう。その弱みを聞く前に念話を切ってしまったのじゃ」
「…そっか。いいよ。龍華に言っておく。」
「頼んだ。」
「じゃあ!明日から行動開始だよ!」
えっちゃんの掛け声に私達は頷き、この日は解散した。
思ったより過去回想が長いです。次は1話の部分を佳奈視点でやっていきます。




