第20話〜学園にいる悪魔〜
俺は、学園長室の前にいた。意外と近いな。よし!
「失礼しま…」
ボーーー!!
「水の壁!?」
学園長室に入ろうとした時にファイアーボールが飛んできた。俺は咄嗟に水の壁を出した。ファイアーボールが水の壁にぶつかり、炎と水のぶつかりによってできた水蒸気で辺りは白い煙に包まれてしまった。
「誰だ!!」
「ほほう?私の攻魔法を防ぐとは、昭武殿が言った通り、筋がいいな。」
俺は叫んだが、聞いたことある声だった。いやついさっき体育館で聞いた声だ。白い煙が晴れたその先には…
「よう。」
「ほっほっほっ。流石は奎汰じゃのう。」
「奎汰も魔法が使えるとはね〜!」
「…」
学園長、昭武のじいさん、麻衣、謎のフード被った人物が立っていた。…というか…
「何であんたがいるんだよ!?」
「わしはどこまでも現れるのじゃよ。」
「威張るなよ。じじい!?って学園長も魔法が使えたんですね?」
俺は学園長に向き直しながら、そう言った。この世界で魔法が使えるのは政府関係者か俺達みたいな特例くらいなもんだって、横にいるじいさんに言われてたし。
「私は向こうの世界に行った事があるからな!そこで魔法をこの爺さんに習った!」
「政府関係者とか言ってなかったか?じいさん?」
俺がじいさんにそう言ったら…
「すっかり忘れおった。」
てへぺろしながら言ってきやがった。いつかこのじいさんに火やぶりの刑にしたい気分だよ!!まだじいさんには敵わないからできないけどな!
「はぁ…まぁいいや。んで?麻衣はなんでここに?」
「うちは、ここの会長だしね!学園長から直接教えてもらったんだ!」
気づいたやつもいるかもしれないが、麻衣はミナと一緒で俺達の前ではこの口調だ。あれは俺達の間では会長モードと言われる。会長モードの時は仕事ができるんだ。会長モードでは!…私生活ではポンコツだ。麻衣の部屋にはゴミやらゲームソフトが散乱してる。だから俺とはるとミナは、麻衣の部屋に遊びに行く時は毎度掃除している(掃除終わったら、はるとミナに麻衣は怒られる)
「麻衣の事情はわかった…。そっちのフードのやつは?」
俺は次にフードを被った人物に目線を合わせた。
「ふっふっふ!そう…我は…」
「絵里…と見せかけて佳奈だろ?」
「…よくわかったね。」
「身長が違うだろが。」
謎の人物…佳奈がそう言う前に被せてそう言った。俺の身長は174cmで、絵里は頭が俺の目くらいまでだ。佳奈は絵里のさらに目の辺りだから、そりゃ…
「えい。」
「いて!?なんだよ!」
「失礼な事考えてた。」
またバレた。
「あぁ〜。イチャつくのは後でもいいか?」
「「イチャついてないです!!」」
学園長の言葉に俺と佳奈は、声を合わせてツッコんだ。学園長はいたずらっ子のような顔で笑っていた。楽しんでるな!?
「では、緩和されたところで本題に入るとする。」
学園長はさっきまでのいたずらっ子のような顔から真面目な顔になった。
「実はの。佳奈がここにおるのは、この学園に悪魔がいるからなんじゃ。」
「は!?」
悪魔がこの学園に!?いや待てよ。悪魔が平行世界旅行機を持つとしたらそれは可能か。って待てよ。何でここに佳奈がいるのに繋がるんだ?
「佳奈の固有スキル、悪魔特効には、悪魔を察知できるんじゃよ。」
「だから私は呼ばれた。というか入学させられた。」
そうか、悪魔特効にもそんな性能もあったんだな。一ヶ月前に言わなかったのは言う必要がないからか。それに入学させられたんだな。大変だろうなぁ
……………………………は?
「入学させられた!?どういう事だよ!」
「悪魔がどれかわからん以上。我が校に入学する他なかろう。そいつが何を企んでいるのかも相手側の奴のかもわからんのだからな。」
学園長の言う事ももっともだけどよ!
「いやでも、佳奈にも向こうの学校が…」
「影に任せてる」
「それに向こうの俺の…」
「えっちゃんが変わりにやるって。」
俺が言い切る前に佳奈が被せてくる。手際がいいなおい!?
「じゃあ、俺が呼ばれた理由は…」
「佳奈はお前と一緒のクラスだ。」
「学園長が事のついでに奎汰も巻き込んじゃえだって!」
麻衣が笑顔でそう言ってきた。その笑顔腹立つ。
「麻衣。お前泣かす」
「何でうちだけ!?理不尽!うちがきめたわけじゃないよ!」
んな事わかってるが、誰かに当たらないと気が収まらない。…まぁ麻衣が可哀想なのでする気は無いけど。
「佳奈、1学年違うのにいいのか?範囲とか。」
「大学までの範囲はやってるから大丈夫。」
さいですか。平行世界の妹だが、やはりどこにでもいるような妹のように成績優秀なんだな…
「その慈愛に満ちた表情なに?」
「なんでもない。」
「ではそういう事だ。お前には迷惑かけるがよろしく頼む。」
「はぁ…わかりました。」
断る理由もないし、やるしかないよな。入学初日からこんな事になるとは思わんかったけど。
「では、お前達は戻れ。担任にもこの事を話してある。」
だから、叔父さん神妙そうな顔で言ってきたのか。こういう事になるって知ってたから、一応叔父さんにも俺が向こうの世界に言ってることは伝えてるけど、ここまで関わるとは思ってなかっただろうな。って…
「じいさんは何でここに?」
「遊びに来たんじゃよ。」
「いっぺん死んでこい!!」
このクソジジイ!そんな暇あったら、向こうの俺の動向探ってろよ!
「師匠のこれは今に始まった事じゃないし。ゴキブリ並に生命力しぶといから死なないよ。」
「わしをゴキと同じように言うでないわ!」
「…では奎汰、佳奈、麻衣。悪魔の事を頼んだぞ。この事は誰にも話すな。」
学園長は、今の下りをスルーして俺達にそう言った。…あいつらにも言っちゃダメなの?
「絵里姉達にも言ったら心配事が増えちゃうし。」
「俺はいいのかよ…」
「…麻衣さんが奎汰はお人好しだから奎汰にしちゃえばって。」
「よし、麻衣。お前はくすぐりの刑に処す!!って居ねぇ!?」
佳奈の言葉を聞いて俺は咄嗟に麻衣の方を見るがもうそこには麻衣の姿はなかった。
「お主と佳奈が話してる間に出ていったぞ。」
「って、じいさんがまだいる。」
いつもならこの辺でいなくなってるのに。こういう時はいるんだな。このイタズラじいさん。
「わしをなんだと思っとるんじゃ!」
「迷惑じじい」
「イタズラじじい」
「仕舞いには泣くぞ。わしは!!」
一通りじいさんをいじってから、俺と佳奈は学園長室から出た。学園長からは再度この事は内密にと言われた。いや佳奈が来てる時点で何かがあるってわかるだろうなぁ。
「とは言ったものの、どうするんだ?」
「大丈夫。皆には別人に見えるようにするし。」
「って、まさかと思うがその魔法を使って朝から居たというわけじゃ…」
「ないって。さっき来たばっかり。」
そういう事なら別にいいんだが、それにしてもこの学園にいる悪魔か、あいつ側の悪魔か何かを企んでるんだったら、倒すしかないから、そいつを探す方が手っ取り早いか…
「兄さん、私は少しここ見回って、その悪魔の事調べるから、ここで別れるね。」
「了解。じゃあ、夜に魔空世界で会おうな。」
「うん」
俺は佳奈と別れてから1人で教室に戻ると、そこにはクラスメイトの姿は無く叔父さんしかいなかった。
「よう。聞いたか?」
「叔父さんも巻き込まれたんでしょ?」
「おう。だが俺は魔法は使えんから。何もできん。お前らに任す。」
「任せてよ。」
「おう。でなんだが。亜衣と美耶もお前らと一緒の学年だ。そこん所よろしく頼む。」
亜衣と美耶、叔父さんの娘で俺の従姉妹達だ。あいつらもここだったのね。
「…クラスは?」
「今日は急用でいなかったがここだ。」
普通は、親が教師のクラスに入れさせられないんじゃなかったっけ?何でだ?
「はぁ…あいつらも困ったもんだ。お前と同じじゃなかったから学園長に直談判して、このクラスにゴリ押しで入れてもらったんだ。」
あいつらの行動力どうなってんの!?よくあの学園長も許したな!?
「あの時の二人の鬼気迫る雰囲気は流石の俺や学園長もビビったもんだ」
叔父さんの現実逃避した表情を見てから、その当時のあの姉妹の事が思い浮かぶあいつらならそうしそうだから怖いな。
「まぁ、今後ともよろしくな。色々と。」
「うん、よろしく叔父さん」
「学校では先生だ」
こうして、俺は入学初日から学園長から呼び出されてから依頼的なものをやることになった。やるしかないな。
ーーーー俺は知らなかった。この事が後に起きる戦いの序章になる事を…




