第17話〜神様の神話関係と魔王の鬱憤〜
「神の力を持っている。」
「やっぱりチート…」
横にいる佳奈はそう呟いていた。俺も思うっていうか俺自身が驚いてるんだからな。
「し、神力って言いますがどういう力なんですか?」
はるがアマに聞いていた。アマは顎に手を置きながら考えているように見える。
「神力は言ってみれば、絶対記憶能力の上位互換で脳みそがパンクしたりしない。それと身体を頑丈にできる。」
相当簡単な感じで言われた。いやそれもう人間やめてない!?
「まぁ…神力の境地はそれだけじゃない。歳をとるという概念が無くなる。」
「え?」
「というのは冗談」
「冗談は言わないんじゃなかったのかよ!?」
「神力にはそんな効力はない。しっしっし!」
アマは楽しそうに笑った。なんだろうおちょくられてる気がする、いやおちょくられてるよな。まぁ、力ってだけで、神になるってわけじゃないだろうしな。
「奎汰が言ったように、神力があっても別に神になるわけじゃない。そんなにポンポン神になられると最高神に僕が怒られるから。」
「ナチュラルに心読むな。」
「あまちゃん!最高神って誰なの?」
日本神話の最高神のさらに上がいるのに驚いたのか、湊が聞いていた。確かに気になるな。
「まず、僕より上の神はイザナミ様」
アマの母親がイザナミだからそうなるよな。日本神話の国作りは誰でも知ってる事だし…さっきアマの事を最高神って言っちゃってた?…それはすまなかった。
「別にイザナミ様に怒られるわけじゃない。北欧神話のオーディンのバカがうるさいだけ。」
「オーディンのバカって…」
「オーディンとは同期。」
「「同期ですか!?」」
北欧神話の最高神と同期って、今めっちゃすごいことを聞いたぞ!?はるとさくらが目を見開いて、驚いている。2人とも日本神話と北欧神話に関心を持ってるからな。みんなそうだが…
「うん。生まれた時がちょうど一緒。だから同期。」
「幼馴染とは言わないのね?」
「あんな堅いやつと幼馴染とかごめん。」
神々の関係性が面白いんだけど?てか、俺の神力の話から神々の話になってね!?まぁ面白いからいいんだけどさ。
「で、では聞きたかった事があるんです!!」
血走った形相ではるがアマに詰め寄った。ま、まさか…ッ!
「スサノオとヤったんですか!!!」
「おいこら!?」
言いやがったよ!このむっつり娘!?
「…誤解していた僕が悪かったし。一応は…」
アマは少し赤くしてからちっさく言っていた。…本神から事の真相を聞ける日が来るとは思わなかったぞ。
「スサノオとはあれ以来ヤってないし、ヤるつもりもない。それだけは言える。」
「そ、そうですか!」
はるは笑っていた。満足そうで良かったよ。って違うわ!アマとスサノオの事はいいんだよ!
「オーディンとは同期なのはわかったが、お前を怒る最高神って誰なんだ?イザナミじゃないのはわかったが。」
「話が脱線しすぎた。最高神は創造神であるヤハウェ様」
ヤハウェってあの!?あの唯一神と言われる!?日本神話より位が上なのか!?
「ヤハウェ様は各国の神話を管理している。神話が何かを起こしたら怒る。だから最高神にして世界の神。」
「「へぇ…」」
この場にいる全員が納得した。だが…
「怒るだけなのか?」
怒るだけじゃないかもしれない。存在を消されたり、天変地異が起きる可能性だってあるし。
「うん、怒るだけ。」
…その可能性もなかったみたいだ。
「じゃあ、僕は帰る。神力についてはツクヨミが知ってるから、今度聞いてみるといいよ。」
「ああ。ありがとな。」
「バイバイ。」
そう言ってアマは消えた。そして、俺はみんなから見られていた。
「「「やっぱりチートだよね。」」」
絵里、湊、湊に言われた俺は苦笑いをするしか無かった。
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「…どうして僕が怒ってるかわかってるの?リリー」
「…知らない。」
ここはパンデモニウムの1番上の大きな部屋、あっ、皆さん。どうも〜!あたしはリリー・アンクレオ・サタン!今あたしは目の前のクソ野郎に怒られています。全く聞く耳持ってないんだけどね…ん?悪魔撲滅部隊日本本部を襲った本人が何言ってるんだって?…あれはこいつや七つの大罪の三馬鹿戦闘狂が勝手にやった事だしね。人間嫌いでもないあたしが、人間を襲う理由もないし。まぁ悪魔殺しは苦手だけど。
「聞いてるの?全く君は…妹の命がどうなってもいいのかな?」
…そう。あたしの妹、ミリエレナ・アンクレオ・サタンはこいつに人質に取られている。だからあたしはこいつの言いなりになるしかなかった。もちろん人間は殺してない。
「…クソ野郎。」
「なんとでも言いなよ!ふん!まぁいいさ。もう行っていいよ!」
ここパンデモニウムは、今やこいつの根城になってしまっている。本当に人間嫌いの先代の気まぐれで助けた人間がここまでやるとはね。あたしは、クソ野郎の部屋から出ると、三馬鹿や他の悪魔がいないのを確認すると、転移魔法で一番下の牢獄部屋まで来た。
「リリー?」
「ごめんね。あたしあんま自由じゃないからさ。あんたを自由にさせられない。」
「…別にいいよ。あのクソ野郎は絶対に許さない。」
「…いいの?そんな事言って、元は好きだったんでしょ?」
「告白した瞬間に殺されかけたんだよ!?もうどうでもいいよ!あんなやつ!」
目の前のこの子はあいつに殺されかけた。それをあたしはあいつの言っていた人形(血液赤色付き)に変えて、この牢獄に入れていた。牢獄に入れてる理由としてはこの牢獄には魔力阻害ができる魔道具でできているから魔力を感知できないの!
「まぁ…それもそうか。じゃああたし行かないといけないから、見つからないようにね?
…千春。」
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あたしは、再び出たところに戻り自室に戻ったら、見知った顔がソファに座っていた。
「なんでここにいるわけ?マリナ」
マリナ、七つの大罪穏健派の1人でみんなからは嫉妬と呼ばれている。
「…ごめんね。昭武に伝えられなかった」
千之丞昭武、マリナと友達の人間で1000歳以上は生きてる。それはもう人間離れしてるよ、先代魔王と同い年なんだけど…。マリナはそれを報告しに来たのね。あっ、あと言っとくけど別に先代魔王は死んでるわけじゃないんだけど今はいない。
「はぁ…あいつらが邪魔したんでしょ?」
「うん。リリー、あの三馬鹿…完全にクソ野郎に堕ちた」
「はぁ…堕ちるとこまで堕ちたね。龍華が来てるからあの子に言ってやり?」
「そうする〜!」
マリナは、あたしの部屋から出ていった。よし、あの人間の子…佳奈ちゃんにも助けてって言ってあるし、あたしに何かがあったってわかるかも!それにしても、佳奈ちゃんはいい子だなぁ。友達の為に格上のクソ野郎に挑むんだからね。この事が終わったら、修行させてみたいかも…。千春の事言えなかったなぁ。今度会えたら、言うか…
次会う時は2ヶ月後になるけどね…




