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最終話「バイオ桃太郎大勝利!」

最終話「バイオ桃太郎大勝利!」



ブゥゥゥン、ブゥウウーン


「助けてくれーっ!」

「だ、だれかあーー!?」


空一面を真っ黒に染める群体。

それは、昆虫。一匹一匹は本当に小さいそれだが、おびただしい数が空一面を覆い尽くしているのだ!


「ああーっ!稲が!」

「大事な稲がーっ!?」


あまりの光景に、爺様は膝をついた。

黄金色に光る稲に、その昆虫達は群がっている!真っ直ぐに、そしてそのアギトを開いて稲を食い尽くしていく。


「神は……神は我々を見捨てたのか」


2xxx年のある日、世界中に同時多発的にイナゴが大発生した。

しかも、これはただのイナゴではなかった。卑劣なロボットイナゴである。

そう、機械昆虫帝国が外宇宙より来襲し、その先触れとして、ロボットイナゴが送り込まれたのだ!



このままではお米が取れなくなり、パンを食べるか、砂糖入りのお菓子を食べるしかなくなってしまう。

そうなれば人類が絶滅するのはほぼ、間違いないだろう。

恐るべき外宇宙からの脅威に、あらゆる国は一つにまとまった。世界連合が結成され、宇宙の、昆虫帝国に戦士達を送り込む事が決まった。そう人類の命運をかけて。


そして、ついにその時が来た……!


そうそうたるメンバーがU.S.A.に集結する。

世界各国の戦士達がスペースシャトルに乗り込んだ。


バイオ桃太郎!

サイコカウボーイ!

メカパンダ!

ナチュラルヨガマスター!


選りすぐりの四戦士が、轟音と共に宇宙に旅立った!



……



昆虫帝国は思ったよりも遠かった

全速力で向かったものの、地球時間で三週間かかった。


そのため、サイコカウボーイとナチュラルヨガマスターは死んだ。なぜなら、シャトルには食料や飲料水を積んでいなかったためだ。


バイオ桃太郎は太陽のエネルギーで光合成できるし、メカパンダは核融合炉で動いているので平気だった。しかし、生身の戦士には過酷すぎる環境であったのだ。


こんなにかかると思っていなかった。

「宇宙は広かった」教訓として、生き残ったバイオ桃太郎とメカパンダは、手帳にそう書き残した。

今後、地球を旅立つ兄弟に向けてのメッセージである。


「おのれ!昆虫帝国、許さんッ!!」


バイオ桃太郎は、まだ見ぬ昆虫帝国を睨みつけた。仲間の仇を必ずうつと、そう心に誓ったのだ!


その瞬間。


ドォン!!


スペースシャトルが揺れる。


「どうした!?何が起こったのだ!」

「シャトルに穴が空きましタ。昆虫帝国の攻撃デス」


バイオ桃太郎の問いかけに、メカパンダが答える。


「シャトルを棄てて脱出するぞ!」

「ハイ。宇宙服をきてクダサイ」


その指示に、素早く宇宙服を着込んだバイオ桃太郎とメカパンダは、間一髪、爆発炎上するシャトルから飛び降りる事ができた。


ボォン!!


炎上するシャトルの光を写して、オレンジ色に銀のスーツが染まる。


そこに待ち受けていたのは、巨大なカマキリ型ロボだ。いや機械生命体であるならばロボと呼ぶのはふさわしくないかもしれない。


『私が、昆虫帝国皇帝だ。地球は侵略する』

「勝手な事を!許さんッ!!」


カッ!!


カマキリの目が光った。ビーム砲が内蔵されているその目から、ビームを放ったのだ。


「危なイ!」

「何!?バカな!」


ジュゥーっと金属が溶ける音がした。直撃コースにいた、バイオ桃太郎をかばってメカパンダがその身にビームを受けた!


「メカパンダーッ!な、なぜ!」

「実は、私は、アナタノコトガ好きダッタ……」


実はメカパンダは乙女であったのだ。しかし無念。その儚い想いは、邪悪な皇帝の光線によって引き裂かれてしまった。


「……っく……」

『バカなヤツだ。仲間をかばうとは』

「許さん、許さんぞ昆虫皇帝!!」


バイオ桃太郎の怒りが頂点に達し、そしてその時不思議な事が起こった!

宇宙空間の紫外線により、バイオ桃太郎のDNAが変化。品種改良され、バイオ桃太郎アルティメットフォームに進化した!


全身が白く光り輝く。


『な、なんだと!?貴様その姿はなんだ?』

「俺は、バイオ……桃太郎!!」

「そして喰らえ!アルティメット桃太郎ブレード!!」


一刀両断!!

昆虫皇帝は真っ二つに引き裂かれた!


ドォーーン!


無情にも皇帝は爆発四散した。悪は必ず滅びるのである。それは古文書の昔から決まっていることわりだ。


しかし、ああ。

しかし。


バイオ桃太郎は、昆虫帝国を打ち倒した。

だが、彼に地球に帰る手立ては無い。


「地球よ……さらばだ」


何という自己犠牲!

ありがとうバイオ桃太郎!

さようならバイオ桃太郎!



……



しかし!話は終わらなかった。そう、独り言を言った時、残骸の中から返事が返ってきたのだ。


「ガガ……諦めるにはまだ早イデス」


それはメカパンダの頭部。

まだわずかにエネルギーを残していたのだ。


「メカパンダ!」

「バイオ桃太郎サマ。私の最後のパワーでアナタを地球に送り返します」

「やめろ!それ以上パワーを使うと貴様の命が!」

「ワタシはもうダメです、アナタに逢えてヨカッタ……ぐふっ」


ぱああっと輝きが辺りを包んだかと思うと、バイオ桃太郎は白い流星に乗って飛び立った!


それは白い帯をなびかせながら、たしかに地球に向かっていったのだった!




めでたしめでたし

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