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アイチ県の悪夢〜暴走の世界〜

アイチ県の悪夢〜暴走の世界〜


ぶおおおおおん!!

大量のエンジン音が地平線の彼方まで鳴り響く。


「「ひゃっはははーー!!」」

「ばばあは死ねえーー!!」

「ああー!そんな無体な!!」


無実のおばあさんが、稲を握り締めながら死んだ。ここは愛知県、ネオ名古屋。


第三次世界大戦の影響で、ネオ名古屋は全ての信号機が破壊され、道路交通法の意味をなさない無法地帯と化してしまったのだ。

行き交う自動車のスピードは日に日に加速していき、今は時速180km以下の自動車はクラクションを鳴らされるレベルである!


交通事故の件数は、天文学的数字にまで膨れ上がり、このままでは数年で日本の人口全てが、交通事故で死ぬ計算である。

歩行者は自らの安全のために銃で武装し、厚さ30ミリメートルの鋼鉄の盾を持ち歩いている。


が、しかし。

自動車を運転する側もそれに対抗し、火炎放射器や重機関銃を車に搭載し始めたのだ。


もはや戦場。

歩行者が駅から自分の家に帰り着くまでに交通事故に遭う可能性は250パーセントを超えた。

一度轢かれたあと、救急車にもう一度轢かれ、運が悪ければ更に救急車が事故を起こすからだ!


ネオ名古屋の市長は、事態を重く受け止め、静岡県のサイボーグ金太郎に助けを求めた。


自動車というメカが人間達を殺している。

その事実が、半分メカの身体である金太郎の心を深く傷つけた。そして英雄の血が、同時にふつふつとした怒りを呼び起こした。


彼はネオ名古屋の自動車を、暴走させているのがネオ名古屋自動車組合であることを突き止め、そのアジトに突入することを決めた。



……



どかあん!


背中のマサカリキャノンが火を吹き、鋼鉄製のドアを吹き飛ばした。中から沢山のサイボーグ戦士達が飛び出す。

彼らは、自動車と人間の融合を目指して作られた戦士達である。最初は本当に優しい気持ちで生まれたそれらだが、人間と自動車の悲しいすれ違いから暴走してしまったのだ!


「ネオ名古屋自動車組合よ。メカを操っての悪行三昧!もはや是非も無い!」


ドドドドドドドッ!!!


カアンカアンとサイボーグ金太郎の皮膚表面に火花が散った。悪者の重機関銃による銃撃を受けたからだ。しかし、彼の表面はレアメタル製なので銃弾は効かない。


「俺の身体に金属は効かん!」


カンカンと火花を散らしながら、悠然とアジトの中心まで歩いて行く。


「やめえい!!」


ぴたりと銃撃が止んだ。自動車組合のボスが姿を現し、命令したからだ。自動車サイボーグ達は、自らの意志とは関係なく、ボスの命令には絶対服従の回路を埋め込まれているのである。


なんと、ボスは大型トラックであった!

がしゃんがしゃんと変形して、巨大な人形ロボットに一瞬で姿を変える。


「お前がボスだな」

「そうだ」


ボスは、サイボーグではなく100パーセント機械。自動車のロボットだったのだ。機械が人間達に使われる社会、それを打破しロボットの権利を高める為、人間抹殺を企てたのだった。


「お前も半分機械ならば、人間と手を切り、機械の世界を作ろうでは無いか」

「断る!俺の中には人間だけでない、日本の全ての生き物達の心が息づいている!」


交渉は決裂した!


「ならば死ねえ!」


ボスはクラクションを鳴らしながら、腕からビームを放った!それを正面から受け止めるサイボーグ金太郎。バリバリという音と共に、表面レアメタルが焦げた。


「うおお!そんなものか!」


しかし金太郎はへこたれない。マサカリを振り上げて、お返しとばかりに投げつけた!


「ぐえー!」


どおおーん!


突き刺さったマサカリと共に、ボスは爆発四散した。そう機械だけの力より、人間と機械の融合したサイボーグの方が強いのは当然である。


しかしロボットであるボスの破片を見て、金太郎は涙した。機械と人間、二つの心を持つ英雄。


それがサイボーグ金太郎なのだ!

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