第三次世界大戦とオニガシマ成敗!
続 バイオ桃太郎vsサイボーグ金太郎vsミュータント浦島太郎 〜日本救国英雄昔話〜
2xxx年、米国とアジア諸国とのパワーバランスが崩れ去り、ついに第三次世界大戦が勃発した。
我が日本国も全土が戦火に呑まれた。日本海に突如現れた所属不明のオニガシマと呼ばれる巨大戦艦から、核ミサイルが雨のように打ち出され、再び国土が核の炎に包まれた。
日本国は焦土と化し、日本人は全て死滅したかに見えた。しかし、確かに生き残っている者が居た、我々の希望が!
岡山県のとある農家で秘密裏に開発されていた、禁断の技術。桃を人工の子宮として、果実の内部で胎児を育てる技術である。それがこのような形で日の目をみることとなるのを誰が予想しただろうか。
初の成功例となる筈であった桃の果実が、核兵器の放射線により脅威の進化を遂げた。
従来の桃を遥かに上回る大きさ(直径1m)にまで突然変異で成長したのだ!それにより中の胎児も急激に成長し、180cmもある成人男性が桃より生まれ出た。
彼は生まれた瞬間に日本語を話し、鬼を退治すると息巻いた。我々は希望を込めて、彼をこう呼んだ。バイオ桃太郎と。
しかし、度重なる空襲により、岡山県は疲弊。同時に開発されていたバイオ猿、バイオ雉、バイオ犬の完成は実現されなかった。
時の首相は当初予定していた猿、雉、犬のチームを諦め、バイオ桃太郎を筆頭に各地の太郎戦士を集め、オニガシマ討伐チームを結成した。
メンバーはサイボーグ金太郎と、ミュータント浦島太郎だ。金太郎はレアメタルで作られた人類史始めての戦闘用サイボーグである。人工金属筋肉、機関銃やレーザー砲などを内蔵した秘蔵の戦士である。
ミュータント浦島太郎はよくわからないが強いらしい。
ついに結成された三太郎チームにより、オニガシマ制圧作戦が開始された。
紆余曲折はあったが、三太郎を乗せたF35はオニガシマに着艦した。(この部分は重要でないので省いた)
オニガシマの甲板に降り立ったバイオ桃太郎に、四方から機関銃の掃射が浴びせられた!
ドガガガッ!!
恐ろしいごう音と共に引き裂かれていく桃太郎の身体。しかし、心配には及ばない。
なぜならば彼は、肉体を液状化し、物理攻撃を無効にする能力を持っているからだ。
(よく考えて頂きたい。桃は殆どが水分でできている、その桃から生まれた桃太郎は殆ど水分と言って良いだろう。つまり液体の肉体を持つ事は当然であるのだ)
全ての弾丸を透過した桃太郎は無傷である。
では他のメンバーはどうであろうか。これも当然無傷である、理由は自明であるので省く。
敵兵は、機関銃を撃つのを諦めた。その時、どおんという音と共に、機関銃兵が金棒で押しつぶされた。ひぎぃと言う声とともに、哀れに潰れた。
「ガハハハ!戦えぬ者は死ねい!」
5mはあろうかという大きな巨体を揺らして、金棒を持った男が吠えた。
「わしはオニガシマ艦長、アカオニである!」
大きな声で、びりびりと空気が震えた。その衝撃で、ミュータント浦島太郎が死んだ。あまりに大きな音であったので、聴覚が発達したミュータント能力が仇となったのだ。
桃太郎と金太郎は、仲間の死を前に怒りに震えた。
「なんと非道なアカオニよ!許さん、成敗してくれる!!」
「行くぞ桃太郎よ!!」
地面を蹴って二太郎が駆ける。
「ガハハハッ!!来いノミムシどもよ!」
頑張れバイオ桃太郎!
負けるなサイボーグ金太郎!!
〜続く〜