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ばからしい
何事に対しても『人が望んでいない』ことが出来ない。私はそういう病気のようだ。
「もし本当に雇ってもらえるなら、毎週土日どちらかは働くことになると思う」、そういう話を私が切り出した時の少し曇った相手の表情。
私はその瞬間、自分の性質を嫌と言うほど思い知らされた。
『迷惑を少しでもかけるかもしれない人に頼み事をすることに対して、心に過大な負荷がかかる』。
もし働けることになっても、毎週末、仕事に出かける度に申し訳なさそうに頼まないといけないなんて。
それが遊びに行く用事なら、どれだけでも申し訳なさそうにしよう。でもある意味、働きに行くということは、戦場に行くようなものなのに。
土日に特に絶対私が必要な訳ではなさそうだな、と思える日々だったから進言したものの、私はやっぱりまだ鎖に繋がれているようだ。
気を取り直して、今一度自分がどうしたいのか考えようと思うが、とてもばからしい気もする。
とてもばからしい。
さぁ今日も、メイドとしての私は本業を全うすべく働くのみだ。
そして、みんなに気づかれないように、こっそり遊ぶの。




