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夢を見るのは一日
裁縫が嫌いだ。
裁縫に一ミリも情熱が湧かない!(笑顔)
なのに、私からすれば服飾専門学校生並みの宿題が大量に出た。
義実家から実家に帰って来てから、自由時間は全てそれにあてた。
いつの間にか正月が終わっていた。
「とりあえず生二つ」
そんな魔法の言葉を、他にいつ耳にすることができるのだろう。
家庭内マネージャー業に精を出すのは三十日間。
夢を見るのは一日。
淡雪のように消えていく余韻。
すがるように掴み続ける期待。
冬なのにビアガーデンのように煌めくデパートの屋上。
なぜか寒さを感じない、筒状灰皿前のベンチ。
夜の空気が好きだ。
普段は窓の内側からしか眺めることができないから。
イタリアなんて行きたいと思う感情が湧かない。
だって夢を見るのは一日。
死ぬまで積み上げられる、その数えられるほどの「一日」たちが、悲しくも私を真面目な人間に維持させていく。
一年経ってようやく分かった。
私が書きたいものは、小説ではなく詩のようだ。




