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息が出来ないほど、楽しくて苦しい
今私は、自分の物語の中に沈んでいる。
ぷくぷくぷくと水泡が上へ上へと向かってゆく。
まだ足をつけていただけの頃は、水面に浮かぶ物語をキャンバスに描くことができたっけな。
いつから潜り込んでしまったのだろうか。
本当はひとつひとつの衝撃ごとに、身体が順番に浸かっていったんだ。
ちゃぷん、ちゃぷん、ぽちゃん。
ああ、息が出来ないほど、楽しくて苦しい。
自分一人で遊んでいる。
今日も明日も明後日も、現実の私は公園を駆けるのだろう。
頭の中は上へ向かう水泡と揺らめく虚構の光。
夢から醒めるまでは、物語を紡ぐことができない。




