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僕は僕の影武者~亡失の復讐者編~  作者: みなみ 陽
第四十一章 白ノ花
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閃光剣

―ゴンザレス ホテル 夜―

 回避能力と瞬間移動に賭けて、俺は攻撃を避け続ける。破片が飛び回るくらいだったならまだ良かったのだが、ガラハッドはその間を縫って嫌らしく魔術を繰り出す。火やら水、風。その攻撃は多岐に渡った。破片と同じように移動して、何かにぶつかるまで決して消えなかった。


「あらあら、騎士様。術の軌道が見え見えだわ。得意じゃないんでしょう、魔術を扱うのは。剣で戦うのが、貴方の道ですもの。当然よね」

「吠えていろ」

「だから、なんで煽るの!?」


 いくら鍛えているとはいえ、いくら耐えられるとはいえ、いくら終わりがないからといえ、見えぬ戦いには心が折れそうになる。トーンダウンして欲しいのに、これでは騎士様の心が燃え上がっていく一方だ。


「貴様も中々やるようだ。しかし、顔を隠しているのは感心しないな。そこの悪魔ですら、仮面を外したというのに」


 いっぱいいっぱいな俺を見て好奇と感じたのか、彼が剣を振り下ろす。慌てて、魔剣を出現させて受けとめた。


「ほう、筋がいい。状況が違えば、入隊試験に推薦しただろう」


 彼の足元の破片は、まるで魔法の絨毯のように動く。これほどまでに広範囲で、様々な物に魔術をかけながらよくここまで出来るものだ。

 このレベルに達して、初めて騎士として認められるのだろうか。だとすれば、魔窟過ぎる。特別な力を与えられている訳でもないのに、才能かはたまた努力の賜物か――どちらにしても、元々の俺では及ばない存在であることは目に見えた。


(多分、騎士様が目に見える位置にいたら劣等感で死んじまう。実力も才能も、まるで……及ばない)


「この状況で助かったぜ……ふふ、別にこの甲冑は外してもいいけど、そんな余裕がないもんで」


 正直、甲冑は重くて動きにくくて見えにくい。身を守る為、戦いに見合う体を形成するにはこれが最善なのかもしれないが、使徒であるには邪魔でしかなかった。


「そうか、ならば――」


 何か言いかけた彼の背後に、イザベラの姿が見えた。


「ちっ」

「うぇ!?」


 彼は舌打ちをすると、俺を蹴り飛ばす。


「剣よ、煌めけ。神の力を解放せよ。フラッシュ・ブレード(閃光剣)!」


 そのまま振り返ることなく、彼はそう唱えて剣を高らかに掲げる。


「眩しい……!」

「これは、魔剣か!?」


 瞬間、鋭い光が放たれて場を飲み込む。それに魔力が集中したせいか、漂っていた破片は落下し、魔術は消滅したのが見えた。だが、確認出来たのはそれまで。痛みと眩しさに負けて、反射的に目を閉じてしまったからだ。


(目が痛いっ! 開けてられねぇ……)


「うっ!」


 全身に衝撃が走る。一体、自分に何が起こったのか確認出来なかった。まぶたの向こうから光を感じなくなって、ようやく目を開けられた。そして、そこで自分の状況を理解した。


「甲冑が……ねぇじゃねぇか!?」

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