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僕は僕の影武者~亡失の復讐者編~  作者: みなみ 陽
第四十一章 白ノ花
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吉日

―ゴンザレス ホテル 夜―

 轟音と共に、フロアが大きく揺れる。その度に、天井や壁が崩れていく。


「しつこいっ!」

「それは、お互い様でしょう? うふふ! どうするの? このままじゃ、皆ぺっちゃんこになっちゃうわよ? そうなれば、英国騎士団への信頼は落ちてしまうでしょうね。王の許可なく、勝手に出撃したことを咎められることも確実だわ。存在そのものがなくなってしまうかも……」


 ガラハッドは剣で、対しイザベラは魔術で対抗する。それに、兵士達も参戦するが、その勢いと素早さを前に呆気なく散る。お陰で、周りは怪我人だらけ。俺は、その手当に追われていた。命に関わるほどではないが、崩壊の進む建物内では少しの怪我も命取りのように思えたのだ。


(こいつらを、どうにかしないと。このまま、ここにいても余計に怪我をすることになる。どうすれば……)


「何故、その事実を知っている? 確かに、私達騎士団は勝手に動いたが……その事実は公表していないはずだ」

「あら、悪魔は詳しいのよ。私のこの目は、全てを見通すの。この世界での出来事くらい、なんてことないわ」


 彼女は、額の目を指差して笑う。それを見て、急にびびっと来た。


(……思い出したぜ。この女の持つ龍の力は、破壊の龍のもんだ。その龍にも確か、三つの目があるって本には書いてあったな。しかし、人間にそれを移した成功率は異様に低かったらしい。移植後、無事に形を保っていたのは二人だけ。詳細なもんじゃなかったから、確信は持てないけども……多分一人はこの女だ)


「民が混乱する中で、行動を起こさずして何が王だ。何が騎士だ。これで咎められるというのなら、その責任は全て私が負う」

「でも、心の中までは見れないの。まさか、騎士がそんな風に思っているだなんて。これは大問題だわ」

「ならば、ここで口封じとさせて頂こう」

「あら、私を捕縛するのが目的なんじゃないの?」

「貴様のような危険な存在は、生け捕りにしていては不安が残る。死んだ後にでも、いかようにも出来る」


(破壊の龍の力は、たとえコピーでも凄まじい。しかも、この女普通に制御してやがる。完全崩落しない程度に、考えて破壊してる。今は崩せない事情でもあんのか? いや、もうどっちにしても危険だわ! だって、この状態だったらいつかは絶対壊れるし! 一階だし、手負いばっかりだし! ミンチの完成だ。一体、どうすれば?)


 兵士達は、言っちゃ悪いが役に立たない。足手まといのまま、全て終わってしまう。それでは良くない。かといって、見殺しにしたくはないし、ミンチにもしたくない。二人の激しい戦闘を見届けながら、俺は頭を回転させる。


(兵士達をまとめて、ドカーンと移動させる方法は…………あるじゃねぇか!)


 思い立ったが吉日、俺は手を強く握り締めた。

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