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僕は僕の影武者~亡失の復讐者編~  作者: みなみ 陽
第三十五章 力に堕ちて
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衝撃と感嘆

―フレイ アジト 夜―

 奇妙な雰囲気の流れる空間だった。俺は、ここにいてもいいのかという気分になる。ボスとガイアはそんな関係ではないのに、気まずさを感じる。

 しかし、それはボスの一言によって緩和された。


「――エトワール、そんな所で隠れてどうしたんだい? 何かやましいことでもあるのかい?」

「まさか。エトワールは、そんな子じゃないわ。ちょっと恥ずかしがり屋さんなだけ。ほらほら、そんな所にいたら寂しいでしょう。こっちへいらっしゃい。お母さんが、よしよししてあげるわ」


 ボスもガイアも、お互いから視線を逸らさずに言った。


「え? どこにエトワールがいんだよ」


 辺りを見渡すも、この部屋にいるのは、俺とガイアとボスと巽だけだった。気配を探るも、どこにも見当たらない。


(ふざけてんのか? いや、エトワールの特性を考えるに……存在感を消してんのか? くっそ、うぜぇ。ボスはともかく、ガイアが分かってんのか気に食わねぇ。こんな奴でも分かることが、俺にも分かんねぇって不快だ。これが……役職の差だってのか?)


 不満を漏らしてもいないのに、俺が十二番にとどまる理由を説明された気分だった。フレイヤがいようがいまいが、お前の実力はその所詮その程度であるのだと。


「……機会を伺っておりました。邪魔をしてはいけないと思い」


 すると、どこかに潜んでいたエトワールがいつの間にか床で跪いていた。


「なんで?」


 そこで、ようやくボスはガイアから視線を外した。不思議そうに首を傾げながら。


(なんで? なんでって正気か? そりゃ、あんなカオスなものを見たら誰だって入りにくいに決まってる)


「別にやましいことをしてた訳じゃないのに。え~まぁ、エトワールもそういう年頃だしね? まぁ、そんな風に捉えてしまうこともあるのかなぁ。でもねぇ、自分とガイアは君らと同じ上司と部下という関係であって――」

「一つ、ボスにお願いしたいことがあり、ここに参りました」


 ボスは、にたにたと笑いながらからかう。まだ長く続くようだったが、エトワールがそれを遮った。


「あらあら、貴方にお願いですって。お母さん達も、ここで聞いていていいのかしら? あれだったら、皆を連れて出ていくわよ?」


 ガイアは、にこやかにそう提案する。


「必要ない。そんなに内密な話ではないからな」


 しかし、それをエトワールは拒否した。その後、立ち上がると、改めてボスに向き直る。ガスマスク越しにでも伝わった。何かの強い覚悟が。


「どうか、俺に再び決闘を受けさせてはくれないでしょうか」

「な!?」

「まぁ……!」


 俺は衝撃のあまり間抜けな声を、ガイアは感嘆の声を漏らした。

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