心配事は流れるように
―自室 夜―
「……はっ」
目覚めると、僕は自室のベットで寝転がっていた。そして、そのベットの中で夢の出来事を振り返る。
(全部嘘……どういうことだ?)
僕にしては珍しく、夢の内容を鮮明に覚えていた。その中で、僕はあいつと会話をした。その会話の内容や、あいつの表情まではっきりと思い出せる。
(でも、僕は寝てた。つまり、さっきのは全部夢だ。それなのに……って、僕は何を真剣に考えてるんだ。たかが、夢の内容じゃないか。馬鹿らしい……そういえば、今何時だ!?)
部屋は暗い。時計を確認する為、恐る恐る顔を上げた。すると、針は午後十時を示していた。
「は!?」
リアムと事件があった場所に行ったのは、間違いなく夜中だった。なのに、今は夜。つまり、これは僕が少なくとも一日はこのままだったということを示している。
(昨日は水曜日……だとすれば、今日は木曜日か? 待て待て……大学は?)
目覚めの僕の頭は、あっという間にパニック状態に陥る。大学に行っていないということは、授業にも出れていないということ。授業によっては、出席が一番大事だというものもある。そうでなくても、出席するというのは試験などで良い成績を出せる自信がない僕には重要なことだ。
しかし、僕はそれを果たせなかった。自然と体が震え始める。
(学校だけじゃない……バイトは? トーマスさんに謝らないと!)
起き上がらなければという思いはあるが、体が現実逃避でもしたいのか起き上がらない。やってしまったことの重大さが、体をそうさせているのかもしれない。
(それに、リアムは? リアムはどうなったんだ?)
頭の中に、次から次へと心配事が現れる。
僕はリアムをとめる為、そしてあの規制線の向こう側から出す為、力を使ったのだ。ところが、現実はそう簡単ではなかった。記憶にはないが今までの経験から考える限り、僕は暴走したのだろう。
(そうだ、クロエ! クロエは!?)
私が全部どうにかする、クロエは僕の暴走した惨状を全て見た上でそう発言したのだろう。僕の醜い姿を見て、それでも僕に触れてくれた。年頃の少女に、それだけの気遣いをさせてしまったことが申し訳なかった。
責任を取るべきは、間違いなく僕なのに。そんな僕はベットの上で、今の今まで呑気に眠っていた。
「クロエ!」
おもりのように重かった体を、嘘のように簡単に起き上がらせることが出来た。
(いるのか? それとも……まだ片付けをしているのか? 駄目だ、僕がやらないと……意味がない! こんなこと彼女にやらせる訳にはいかないっ!)
僕は、慌てて部屋から飛び出した。




