真夜中の事件
―学校 朝―
(いつにもまして、今日は体がだるいな)
朝、ベットでいつものように目覚めた時から体が重かった。何というか、眠った感じがしなかったのだ。でも、夜中にベットで眠って早朝にベットで目覚めてるのだから、間違いなく眠っている。
しかし、何故だろう。徹夜明けと一緒の感覚を僕は感じていた。このまま目を瞑ったら、簡単に夢の世界に行けそうだ。
(そういえば、クロエも何かだるそうだったような……)
今朝、目覚めるといつも通りに朝食が用意されていた。そして、その朝食を一緒に食べた。だが、朝食を食べるクロエの顔に生気はなかった。僕が話しかけても返事はなかった。
結局、今朝は言葉を交わすことはなかった。普段の陽気な感じがなかったから、かなり心配だ。
(僕が夜中、皿割ったのがいけなかったのかなぁ)
「はぁ~……」
「どうしたの!? ため息なんてついてさ!」
「うわぁっ!?」
いつの間にか、隣からリアムが僕の顔を覗き込んでいた。
いつから、僕の顔を覗き込んでいたのだろう。というか、この教室にいつ来たのだろう。僕が来た時には間違いなくいなかったのだが。
「おはよ!」
「お、おはよう……」
「いつにもまして元気がないね、タミ! 何かあったのなら、この俺に何でも相談してよ!」
リアムは、満面の笑みを浮かべて両手を広げる。いくらでも受けとめてやるから、吐き出してみろ……そういうのがひしひしと伝わってきた。
「相談……君に?」
「うん!」
何だろう、この頼りにならない感じ。彼に相談することで、どうにかなる問題とは思えないのだが。
「……いや、遠慮しておくよ。そんなに大したことでもないしね」
「えぇ? 遠慮なんてしなくてもいいのになぁ」
「それより、この魔法言語の授業にリアムいたっけ? まさかとは思うけど――」
「うん! タミがいるから出るんだ! 今日は午後からの授業だけど、そのせいで午前中が退屈なんだ。でも、こうすることで、タミに会えるし授業に出れるから一石二鳥だよ」
「あぁ……そう」
先が思いやられる。しかも、暇である限りこれからもずっと僕の隣で授業を受けるというのだから堪らない。
リアムは、僕がこの国に来て初めて出来た友達であり人生で初めて出来た人間の友達だ。悪い人ではないというのは、よく伝わってくる。だが、彼に僕は――。
「あ! そうそう! すっごぉいことが夜中にあったの知ってる? 今日、朝からニュースになってたんだけど!」
「ニュース?」
「あれれ? 今日のニュースを見てない? それとも、朝はテレビとか見ない派?」
「見ない……」
「そっかーじゃ~分からないねぇ。すっごく面白いことがあったんだよ!」
(今の所、凄いということしか情報はないけど……何だろう?)
「面白いこと?」
「うん! 得体の知れない不気味な獣が出たんだって! 真っ黒な……ライオンみたいな感じの。ニュースの写真とか動画は暗くてよく見えなかったんだけど、沢山見ている人がいるから間違いないよ! 見てみたかったなぁ、俺も! この目で」
不気味な獣、真っ黒でライオンに似ている……それを聞いて僕は胸騒ぎを覚えた。




