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僕は僕の影武者~亡失の復讐者編~  作者: みなみ 陽
第十二章 ようこそ、死の楽園へ
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発想の転換

―ジェットコースター 朝―

 考えても考えても思いつかない。進めど進めど同じ道、終わりのない闇。得られた安心感も、焦燥によって失いかけていた。


(肌がヒリヒリする……これは完全に自分のせいだが、急がないと大変なことになるかも)


 重くて固い頭を必死に回して考え続けているのだが、これといったアイデアもそれに掠りそうな発想も出てこない。頭の悪い自分に、ただひたすらに腹が立つ。


(何か……この長い闇から抜け出す手段はないのか? 特にもう何も起こらないし、やはりあれを燃やしたのがまずかったのか!? 謎の生物が脱出の鍵だったとか!? どうしよう、だったらもう詰んでるじゃないか! いや、違う。きっと他に何かあるはず、何かあるはずだ! あってくれないと困る!)


 しかし、ほのかな光では何があるかすら分からない。今ここにあるのは、レールと乗り物と僕だけのようにか思えない。


(同じことばかり考えても仕方ないか、発想の転換って奴をしてみるべきかもしれない。何があるかじゃなく、何がないかを考えるべきだろうか……今の僕には自由がない。その自由はどうすれば取り返せる?)


 少し考えてみて、すぐにそれが何であるか気付いた。


「……この安全バー、か」


 この速さで振り落とされたりしないように身を守ってくれている物、普段であれば邪魔になることは絶対にない。この異常事態であるからこそ、不要だと思ってしまう。


(あの係員の人みたいに出来れば……いや、やってやる。出来る人がいるってことは、やれば出来るってことだろう)


 そして、僕は覚悟を決めた。一歩間違えれば、顔の火傷より大惨事になりかねない。だが、一々迷っている暇はなかった。僕は体を固定する安全バーを掴み、それを握り潰すようなイメージを頭に浮かべながら手に力を込めた。


「はあああああああぁっ!」


(破壊することには長けてる……そういえば、破壊衝動は最近は落ち着いてきてたけどなんでだろう? って、あまり余計なことは考えてる場合じゃないな。この安全バーを壊すことに集中しなくては)


 僕は、さらに安全バーに力を注いだ。特殊な加工がされているようで、そう簡単には壊せない。ならば、これを上回る魔力で破壊する他ない。


「ううううううっ!」


 安全バーにかけられた魔法と破壊魔法がぶつかりあって、光を発する。思わず目をすぼめてしまうような鋭い光、しかしこれに耐えなければ道はない。


「壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊すっ!」


 僕がそう叫びながら力をさらに注ぐと、その甲斐あってついに安全バーが大きな音を立てて飛散した。


「はぁ……はぁっ、うわぁっ!?」


 安全バーが外れたことで自由になった。が、自由になり過ぎたことで僕の体は投げ出された。咄嗟に浮遊の魔法を使ったことで、最悪の事態は回避出来た。


「はぁ……」


 一瞬心臓がとまってしまったかと思った。やはり、咄嗟にあの係員の人のようにはいかなかった。


(まぁ、いいか。さて、次はどうしよう?)


 あっという間に、僕が乗っていた乗り物は闇に消えて見えなくなった。


(破壊の後に炎と浮遊を同時に使うと疲れる……このレールの上を走るか)


 レールにはかなり大きな隙間だらけ、上手く渡らないと足がすっぽりはまってしまうだろう。僕は注意しながら降り立ち、体勢をまっすぐ保ちながら立ち止まらないよう僕は走り続けた。





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