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運命の歯車はです!

始めまして!

やっと異世界の話が始まりました!

誤字脱字が多いと思いますが、ニアンスで読んでください!

気づき次第、直していきますので、今後ともよろしくお願いします!!

ドンッドンッ!


「マリア!マリア!」


朝の食事会へ来ないスティフォール伯爵家三女マリア、姉のネリアがマリアの部屋の扉を叩き呼び出す。だが部屋からの返事は無い、断りを入れ扉を開ける。


「入るわよ……」


あまりにも静かで人の気配が無い、ベッドを見ると膨らみがあった。


「もうっ、いつまで寝てるのよ……え?」


声をかけながら布団を剥がすと、そこには大量のドレスが積まれていた。


「……リア?が、居ない……マリア!?、……マリアーー!!」



この日マリアは、スティフォール家を出ていった。






雲ひとつ無い空の下、街道から少し離れた森の中、目をこすり欠伸をしたがら歩く少女と、落ち着いた雰囲気で歩くメイド風の女性が歩いていた。


「ふぁ〜ぁ…夜通し歩くと疲れます〜」


「……後2刻程で森を抜け、ガルデアに着きます。」


「ふぁ〜い」


欠伸をしながら返事をするのはスティフォール伯爵家の三女マリアだ、その後ろに付き従いマリアへ返答する女性は侍女長だったユリである。ふたりは深夜から歩き続けガルデアを目指していた。

「…欠伸ばかりではなく、前を向いて歩いてください。整地された街道と違い、歩き難いので――」


「――わかってますよ〜ユリは小言が多いですぅ〜」


……はぁ〜、とユリがため息を漏らす。

侍女長のユリが何故、三女のマリアとガルデアへ向かっているのか、それは10年程前まで遡る………



……ユリは各執事・侍女・使用人達の前で執事長に紹介されているところだ…


「…と、言うことだ。よく教えておくように――」


――伯爵家の屋敷は広く、執事・侍女・使用人達は30人もいる。常に忙しく、新人のユリは先輩使用人達から、毎日の様に雑用を押し付けられていた……


……2ヶ月後、相変わらず雑用を押し付けられているユリは、その手際の良さ、真面目で素直な性格、覚えの早さが目立ち、使用人達から陰口や嫌がらせが多くなる。



その噂は、いくら広い屋敷でも、数日後には執事長に届けられる。ユリはニヤニヤと笑みを浮かべる先輩使用人に「執事長の元へ行きなさい」

と言われ、執事長室の前にいた。


「……クビか…」


と、声をこぼし少し呼吸を整えてから扉をノックする。


コンッ…コンッ…コンッ


「…ユリです……」


中から紙を集めコッコッと纏める音がする。


「…入りなさい」


失礼します。と小声で言い、入室する。ユリは執事長の机の前まで行き緊張した声で要件を伺う。


「…ご、ご用でしょうか…」


「……そんなに畏まらんで良い、…なにクビになどせんよ」



っえ!?っと言いそうな顔するユリに、執事長は微笑みながら話を続ける。


「噂は聞いている。君は優秀で仕事の覚えも良い……使用人達が嫉妬をする気持ちもわかる……」


「……謝らなくてよい、だが使用人達との不和は取り除かなくてはならない。そこで、君は三女マリア様の、侍女になってもらう」


「……侍女、ですか…」


「あぁ、マリア様ももうすぐ5歳に成られる。乳母をそのまま…と思っていたが、彼女も子供と一緒に村へ帰り、旦那と過ごしたいと前から相談されていたからちょうどいい…」


マリアは悩む、自分で侍女が勤まるのか?使用人達に嫌がらせ…これは我慢すればいい、でもマリア様に危害が及ぶのでは?と、考えていると執事長が席を立ちマリアへ声をかける。


「ではマリア様の元へ行く、今日から君はマリア様の侍女だ……行くぞ、ついてきなさい」


マリアに拒否権は無い、執事長に促されマリア様の元へ向かった。




「マリア様、彼女がユリです」


執事長に紹介され頭を下げる。ニコニコとどこか嬉しそうなマリアは、トテトテと効果音がしそうな歩みでユリの前にくる。


「あなたがユリですか〜♪マリアは〜マリアっていうのです〜♪」


「!?っご、ご丁寧にありがとうございますマリア様、わ、私はユリです。よろしく、お、お願い申し上げます…」


常に冷静なユリでも、このふわっふわっなマリアを見てたじろぐ。


「ではマリア様、私はこれで……」


執事長は頭を下げ退室していく、あっ私は!?と執事長の方へ右手を伸ばすが、ぐいっと左手を引っ張られる。


「ユリは〜ぼうけんしゃだったのですか〜?ほんと〜ですか〜♪」


何故それをっ!?と呟くが、マリアには聞こえた見たいで、やっぱりです〜♪と喜びユリの左手を左右に降りながら駄々っ子の様にお願いしてくる。


「ぼうけんです〜♪まものとたたかったり〜どうくつでたからもの〜♪いろんなまほうをつかうですか〜?」


きいたいです〜♪とニコニコ笑顔で期待の眼差しをマリアはユリに向ける。ユリは観念したように今のマリアでも理解出来る様な言葉で話してあげる。



ユリは、これが切っ掛けでマリアが冒険者になると言い出し、伯爵や夫人、姉達にもう反対され家を飛び出すとは思っていなかった。

だが目の前には、眠気をこらえ先ほど注意を聴き、前を向き足元に気を付け、ガルデアを目指して歩くマリアを見ると……


「……あの時、嘘をついて隠し通せばよかった……」


マリアは独り事の様に呟いて、懐中時計を出し時間を確認する。ちょうど屋敷では朝の朝食会の時間だ。

今頃はマリアがいない事で大騒ぎに成っているだろうと、ユリは思うが目の前のマリアは少しふらふらしている。眠気もあるが、まだ朝食を摂っていなのだから、お腹も空いてる筈だ。


「マリア様…少し休みましょう、食事も採らなければなりませんし、森の中では歩き難く、体力も消耗してる筈です」


「……わかりましたです〜ユリの指示に従うです〜」

と言いながら座り込むマリア、従うも何も…と思うユリだが、マリアが言った事を思いだす。


『屋敷をでたら〜ユリが指示を出すです〜外の世界では〜ユリが先輩ですぅ〜』


と言われ、渋々了承したのだ。冒険者としては先輩だが、家出ではあるがマリアの侍女なので、雑用などはユリがやるので関係は余り変わらないが……


「……ここではなく、あそこで休みましょう」


と指を差す。そのユリの指先が示す少し先に、光が射し込むほどの開けた場所が見える。光が反射しているので泉があるのだろう。マリアはユリが指先を見て、泉です〜♪と叫びながら走り出し、マリアを置き去りにしてひとりで向かってしまった。


「……先が思いやられますね…」


ユリはまた、ため息をつき自分も泉へ向かう、すると先に行ったマリアが戻ってきた。


「たたたっ大変です〜!?おおお女の子が倒れてるです〜!!」


「女の子!?」


ユリは驚きの声をあげる。マリアが少しビクッ!?となるがユリは続ける。


「この森は、大人でも独りでは来れないほど、危険な猛獣がいる森です。ましてや子供が独りなど不自然なのです――」


「――小さな女の子です〜!助けるです〜!!」


「!?マリア様!……っ!!」


マリアは助けると言い切り、女の子の元へ走りだす。ユリはマリアを止めようとするが、小さな女の子と聞いて昔の事を思い出す。昔、助けられなかった女の子…今倒れている女の子は助けられるかも知れない、マリアの背中を見つめユリも女の子の元へ走りだす。


この時から、彼女達の運命の歯車は、動き出した……





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