閑話:笑いを知ろう
マサアキとアドラスのお話し
治療薬士ギルドに集まる多種多様な人達の中に、ユリとシネラがいた。
ユリはマサアキに『勉強会を開く』と言われて、他の者達も忙しいなか集まったのだ。
何故シネラがいるのかと言うと、マサアキが『ついでに、信頼出来る者も連れてこい』と言ってたらしいので、シネラも一緒についてきたのだ。
「第11回、転移者勉強会を始める。今日は新人が2人いるので、自己紹介をしてもらおう…ユリさん、お願いします…」
マサアキはマイクらしき物を持ち、やる気に満ちた感じだ。
正直絡むとめんどくさそうな雰囲気だ。
そんなマサアキに指名されたユリは「面倒です」と、マサアキに渡されたマイクもどきを叩き落とし、踏みつけてから、炎魔法で灰にした。
「マイクー!?」
マサアキは壊れたように、灰にしがみ…這いつくばり、おいおいとウソ泣きをはじめる。
本当に面倒くさい…
「…早くはじめてくれ」
壁にもたれ掛かっている、如何にもVシネマに出ていそうな男性が言った。
「すまない…マイクが無いと…」
マサアキは、粉々になったマイクもどきを手に持ちながら、悲しそうに呟く。
すると、Vシネ男性がマサアキに近より、懐に手を入れた。
「なっ!」
「えっ!」
ユリ達は、マサアキが殺られると思い、身を構える。
だがVシネ男性は、懐からマイクの形をした固い物をマサアキに差し出す。
「これを使え…」
「…タチバナ…」
Vシネ男性はタチバナというらしい、マイクを受け取ったマサアキは、タチバナお礼を言い、タチバナは先ほどと同じ位置へと戻っていった。
「…なにこれ?」
「…解りません」
ユリとシネマは、今のやり取りが何なのか解らず不思議に思うが、他の者達は平然としていた。
マイクが復活したマサアキは「それでは…」と言いながら話し出す。
「本日の議題は、『地球のお笑いは、ラトゥールでも通用するか』だ!」
「「……」」
マサアキの発言に、ユリとシネラは冷やかな目線を送る。
だが他の者達は「いいねぇ!」「腕がなるな!」「面白い…」などと言っていて、やる気満々のようだ。
あのタチバナでさえ「…ふっ」と言いながら笑っている…
「先ずは手本を見せよう…アドラス!」
「オッケー!ブラザー」
マサアキに呼ばれたアドラスは、すでに準備万端といった感じで、マサアキの隣に並び立つ。
これから何が始まるのか!
※ここからは、声だけでお楽しみください。
「「ど〜も〜!!ガルガルワキワキでぇ〜す♪」」
「マサさん、今日も始まりましたね!」
「アドさん…いまさらですよ…前を見て!?お客さんが、早くやれって目で見ているから!」
「oh!欲しがりさんな、お客さんだ!」
「ではでは…」
「「ショートコント!」」
「待ち合わせ…」
「よお…」
「お待たせ〜♪」
「おう、久しぶり…」
「服を選んでたら、時間かかっちゃって〜」
「あ…そうなんだ…けど、時間かかりすぎじゃないかな?」
「そうかなぁ〜」
「まあ…いいけど…」
「許してくれるの!ありがとう♪」
「礼なんていいよ…気にしていない」
「さすが私のか・れ・し♪」
「…ああ、ちょっと待ってて…お前うるさいよ!俺の魔法通信の会話に、話しを被せてくんな!!」
「「はい!!ガルガルワキワキ〜♪」」
「ウケるわ〜」
「おもしろ〜い」
「新作かよ!」
「「……」」
会場には笑い声が響き渡り、皆が笑っているのだが、ユリとシネラは固まっていた。
やりきったマサアキ達は、皆の笑い声に満足そうだ…
だが、ユリ達以外にも笑いがわからず、キョトンとした表情の人がいた。
「あの〜…何が面白いのか…教えてもらえますか?」
その言葉に、会場は凍りつく…芸人殺しここにありだ!
「コリス!それ聞いちゃダメなやつ!?」
芸人殺しはコリスだった…その隣で慌てているのはカズキで、コリスを一緒に連れて来た様だ。
「…ダメなの?」
「ダメと言うか…芸に解説を求めちゃ可愛そうと言うか、何と言うか…」
コリスの疑問を、答えたいが答えられないカズキに、ガルガルワキワキ共がコリスの元にやって来た。
「コリス…」
「コリス…」
何故か一人づつコリスの肩に手を乗せて、可愛そうな娘を見るような目を向ける。
「…教えてやろう、笑いの全てを…」
「ああ、恥ずかしがる事はない…はじめはから出来るヤツはいないんだ…」
ガルガルワキワキ共は、諭すように言い、コリスを前へと誘う。
コリスは「えっ!?なに?なにが!?」と困惑しながら前に引きずられていった。
「よし!…そしてユリさん達も……あれ?」
マサアキは、笑っていなかったユリ達を呼ぼうしたが、すでにユリとシネラは居なかった。
壁にもたれ掛かっているタチバナが「…帰ったぞ」と言うので、ガルガルワキワキ共はコリスに向きなおり言った。
「とりあえず、ボケてみろ?」
「ツッコミはむずかしいから…」
「えっ…えぇ〜!?」
何故かボケをやらされる羽目になるコリス…そして、ガルガルワキワキ共による教育がはじまった…
このあとコリスは色々なボケを伝授されるが、以外にも彼女自身が天然だったためか、ボケる筋が良かった。
本日も勉強会は大成功だった……
次話から本編再開です!
次は『白猫の守護者』ギルド講習編です。
※ユリさんの出番は少なめです。




