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椿鬼  作者: 彩花美月
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弐(5)






家についてリビングに行くとそこでは咲龍ざくろがおやつにどら焼きを食べていた。

陽女さんがその前の椅子で咲龍と話しながらお茶を飲んでいる。

今日は八重はまだか。


「おかえりなさい」


陽女さんがそう言って立ち上がろうとするのでそれを止め、俺は台所に立つと蛇口をひねり手を洗い、やかんに火をかけてお湯を沸かしながら急須に茶葉をいれた。

もうひと息ついているのだから自分のお茶くらいは自分で。

そうしていると玄関からただいまーと八重の声が聞こえた。


しばらくして洗面所で手を洗ってきたのだろう八重はリビングにはいってきた。



「おかえり、八重。牛乳のむ?」


「うん」



そう答えると八重はテーブル横にランドセルを置いて咲龍の隣に座る。

俺は冷蔵庫からどら焼きをひとつと牛乳パックを出してコップにそれを注いだ。

自分の分のお茶も湯呑みに注ぎ、どら焼きと牛乳を八重に出した。



「お父さん、この後お話してもいい?」


「うん、待ってくれてありがとう」



八重に笑いかけそう答えると八重は少しほっとした顔をした。

これは早くきいてあげた方がよかったのかもしれない。

八重の氣が揺れてるし少し曇ってる。

昨日は少し気にかかるくらいだったけど今日はとても気になるな。

何かあったかな。



「俺もお父さんとお話したい!!」


「あとでな。八重は昨日から待ってたから。咲龍は宿題してて」


「はぁい」



そう言うと咲龍は最後のひとくちのどら焼きを食べてごちそうさま!と手を合わせる。

それから食べ終えたお皿とコップを洗い場に置き汚れた手を洗うとこちらに戻ってきてランドセルを開けた。

それからドリルと筆箱を取り出す。

うちは今のところは台所で宿題をやることとしている。

わからないところはきいてもらえるし親の目に入っていることが大切だて思うからだ。

もう少し大きくなったら個室も必要だとは思うけど今はまだというのがうちの方針である。


しばらくして八重もおやつを食べ終わり手を洗いに行った。

俺はまだお茶の残る湯呑みを持つ。



「じゃあ本の部屋でいいかな?」


「うん」



そう答える八重を連れて書斎に行く。

窓際の小さなテーブルの前にある奥の椅子に座り湯呑みをテーブルに置いた。

八重は目の前に座る。



「で、だ。どうした?」


「あのね…あのね…うちのお仕事は呪い屋さんなの?人を不幸にする仕事なの?」



苦しそうに悲しそうにそういう八重を見て俺は息が詰まった。







.


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