参(6)
店につくとぽんぽんと背中を軽く払って中に入る。
だいぶついた気は薄くなってるはずだが念のため。
こういうものは散らしておいた方がいいのだ。
ウィルスと一緒だ。
ハジメが俺をみやって奥の席に視線を向ける。
ああ混み合った話をするから他人の視線を感じない奥まった席を用意してくれたのね。
ありがとう、ココアくださいと伝えてそちらに行くと麻井が珈琲を飲んでいた。
「それで?何かわかりましたかね」
「まだ座ってもないのに急かすねぇ」
そう言って俺は椅子に手をかけて腰を落とす。
落ち着いて息を吐いて言葉を結んだ。
「わからないことがわかった。という段階です。やっぱりみたこともきいたこともないやつで俺にも勉強が必要。ただ呪い的なもんなのは間違いないから専門は俺になりますね。解決の為にもちろん動くけど、ンー、市役所のみなさんからお金貰うのはなァって感じだなぁ。むしろ今日みたいに現場入るのに協力して欲しいかなぁ。俺が祓い屋として動いているのをたくさんの人に知られるのは避けたい。市役所的には市民のみなさんを欺く形になるからやっぱりよくないか?」
「やぁ、もう、緊急事態特殊事態すぎて解決するなら俺が責任をもって隠匿します。任せて。お金かかんないの本当ありがたいですけど本当にいいのか?」
「ンー、これは俺のライフワークみたいなもんだからいい。ていうか貰うんなら呪われたうちからだけどまぁそれはそのうちが祓い屋の俺の家に依頼してきたら貰うわ。勝手に動いているうちはいらないってのが正当だと思う」
「なるほどなぁ。時間かかりそう?」
「それな、教えてやれたらお前の仕事的にいいんだろうと思うんだけど無能ですまんな。わからん。本当にわからんことがわかった状態なんだわ」
「いやいや、本当解決の為に動いてくれるだけでありがたいから。確かにわかった方がありがたいけど」
「ああ、ただ、解決の為に情報を渡すってなった時多少の金銭は要求するかもしれん。その辺はよろしくお願いします。多額ではないと思います」
情報を渡すということもエネルギーが必要。
お金はエネルギーの交換。
対価が必要な時は交換した方がいい。
その方が相手方に変な呪いがいかないからだ。
「了解。じゃあ今後も俺がお前の窓口で現場に行くときは言って。ついて行きます」
「了解。よろしくお願いします」
麻井のおかげで現実的な方は動けそう。
あとは呪いがどういうものなのかヒントを探る方だな。
後でご先祖さまたちと話すのはもちろんだけどそれだけで解決するとも思えない。
出張と勉強が必要だろうなぁ。
ほんと
呪であることはわかるけど
どんな呪なんだろうか。
それがわからないととけもしない。
とけないということは死体はあのままだからな。
気合いいれないとな。
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