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第九十一話 世界の異物

中央だけでなく部屋の隅々に透明なケースが広がり、サイズの様々な銃、刀、矛…中には使い方のわからないものもあった。全てが全て異質な光を放っていた。あそこで見たもので記憶に有る限り、既製の物と全く同じものを見たことはない。イフリートの腕同様、何か特別なものだろう。


そんな知識などなくても、たかが一サラリーマンでしか俺があれほど大量の兵器を前にして平常でいられるはずがなかった。ここにいたままでは何をされるかわからない。目が覚めてから一番強くそう感じた。突然、人に遭うことが恐ろしく思えた。逃げ出そう。誰かに見つからないように、と。


入ってきた扉と対角にまた扉が見えた。どこまで行けば外へ出られるのか。扉は延々と続いているのではないかと不安を抱いた。それでも一本道なのがせめてもの救いだった。


扉に触れられる距離まできた。できれば少しは希望の見出だせるような部屋が広がって欲しい。そう願いながら扉を開けようと手を伸ばそうとした。


武器を持っていった方がいいんじゃないか?


こんな部屋があるのだ、武装した人間がいるかもしれない。だったら、何かしら持っていた方が…。いや、銃なんて使ったことはないし、他の物も大して使いこなせない。そもそも、ケースを壊したら誰か呼ぶことになりかねない。そっちの方が危険だ。だとしたら…。


“ガチャッ”


自らの腕に着いていた金色の篭手。外した後、とりあえず左手で抱えていた。これならいわば素手のようなもの。他よりはよっぽどマシだろう。もう一度着けることにした。


そういえば、先に包帯が巻かれていたんだった。さっきの怪我に巻いておこう。痛みはなかったが、血は出ているはずだ、と傷口を探したが、血の跡は毛に付いているものの、傷口が全く見当たらない。破片に血が付いていたように思ったのだが、気のせいか、それで済ましたが、実際は怪我をしていただろう。あの時は全く気が付かなかったが、治癒力が強まっていた。常人の何十倍も。こんな俺を造った奴らの技術はどれだけ先のものなのか…。


結局、傷を見付けられず、包帯はその場に捨てた。外す時とは真逆の順序で着け直す。着け終わって改めて感じた。重さや圧迫感…違和感を全く感じない。身体の一部のように馴染む。俺のために造られたようなそれ…。少し心強く思えた。


しっかりと着け終わり、今度こそ扉を開いた。


また同じ真っ黒な廊下が続く。どこまで続いているかわからない。終わることはないんじゃないか…。進んで行きながら、不安ばかりが大きくなった。


だが、この不安は終わることになった。より悪い形で…。

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