第八十七話 知らぬ痛み
大変遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年もClored Worldをよろしくお願いします。
「ぐっ…。」
頭に向けられていた銃口は引き金を引く直前に向きをかえ、放たれた銃弾は右肩を突き抜けた。左手で傷を押さえたが、その手を踏み付けられた。
『でもねぇ、死んでもらっちゃぁ困るんだよぉ。てめぇの同類探し出して殺すまでぇ、頑張ってもらわねぇといけないんだよぉ。』
「……ッ!」
踵で手を踏みにじる。痛みで声にならない声をもらした。
『お姫さんの事はもう心配ないよぉ。もう終わったからぁ。』
口調が少し落ち着いたが声色がまだ低い。ただ、終わったとはどうゆうことだ?表情から読み取ったのか、相棒が付け足した。
『俺にだって人一人殺すくらいできるんだよ。』
傷を踏んでいた足をどけながら、続け様に言う。
『もう休んでいいよぉ。言いたいことこれだけだしぃ。でも…次はないからね。』
「あぁ、わかった…。」
そう答えたものの、何も考えられなかった。
『そうそう、分かればいいんだよぉ。じゃ、もう戻っていいよ。』
背中を向け、イスヘと戻って行く。残された俺は痛みを堪えながら、部屋をでた。
−
銃声が聞こえた。恐くて目を閉じた。力いっぱい。
あの時の光景が目の前に広がった。ステージで人が燃えていく…。
胸がくるしくなった。理由なんてやっぱりわからない。だから余計に恐い。ただ堪えるしかなくって、ベットのなかで、震えを止めようと、丸まっていた。
結構な時間が経ったと思う。やっと震えが止まった。ベットから起きて一番最初に思ったこと−狼さんに会わないと。わからないこの震え、狼さんならきっとわかる。だって−。
部屋を出て狼さんの部屋にいったんだけど、そこにはいなかった。トーイッシュに聞こうかなとも思ったのだけど、今のトーイッシュに話しかけるのは気が引けた。
どうしよう…と思ってたら、床に赤いものが見えた。血だ。きっと狼さんのだ。廊下の明かりが少し暗くて見えずらかったけど、どうもエレベーターとトーイッシュの部屋の間にしかついてなかった。部屋にいるときに誰かが前を通り過ぎる音を聞いたから…、もしかして、エレベーターで違う階に行ったのかな?そう思ってエレベーターに乗ろうとした。
やっぱり違う階に行ったみたい。エレベーターが一番上から下りてきた。屋上…なのかな?目の前の扉が開いた。…やっぱり狼さんみたいだ。床に血がついてる。大ケガしてるはずなのになんでどっかいっちゃうのかな?早く行ってあげよ。ちゃんと前に貰った治療道具を持って一番上のボタンを押した。