第五十一話 三の舞
終わった〜。疲れた。
今日は一日働きっぱなしだったの。昨日は結局、狼さんの治療して寝ちゃったから。部屋の片付けしないといけないし、家事の方だってあるから大変だった。全然掃除してないみたいでホコリとか溜まり放題。頑張って全部掃除したよ。ゴハンも作ってあげないといけないし…、スゴく疲れたよ。
トーイッシュはゴハンの時だけ出てきたよ。でも、その後どこか行っちゃった。お仕事かな?
ただ、狼さんは一度も見なかったの。昨日のケガが痛いのかな?部屋の前を通るとうなされてるみたい。大丈夫かな?
とりあえず、部屋をキレイに出来たんだし、今日はもう寝よっと。その前にお風呂入ろ。
“ガバッ”
『ハッ…ハッ…。』
嫌な夢だ。ここのところよく見る。
窓を見るといつもの冷たい月が輝いている。夜か…。時計を見ると、十時になるかといったところだ。身体を起こし、ベットに座るようにした。傷はもうなんともない。身体の疲れもとれている。ただ、身体が重く感じる。そういえば、飯を食ってないな。丸一日何も口にしていないんだ。当然か。何かあるだろう。部屋を出て食堂に行くことにした。
「あっ。」
…思いっきり驚いちゃった。だって今日はもう会えないと思ってたから。
「ケガは大丈夫?」
『ああ、お陰でな。』
ホントかな?毛がいっぱいで他はよく分かんなかったけど、黒の…袖のない服って…タンクトップ?が濡れてる。うなされてたもん。
『悪いが…。』
?。どうしたのかな?
『何か食い物だしてくれないか?』
そっか。全然ゴハン食べてないんだ。
「わかった。ちょうど狼さんの分とってるから、それでいい?」
『ああ、助かる。』
ホントに大丈夫かな?狼さんって呼ばれてるのに全然怒らないよ。
食堂まで行き、なんとか席につく。少しふらつく。流石に連続で受けるのはこたえるな。腹が減ってるのもあるのかもな。
夜の残りを暖めてだしてあげた。そしたら、ガー!っと食べちゃった。早いよ。詰まっちゃうよ。あっ、と言う間に食べきっちゃった。
『ありがとう。うまかった。』
「え?…あ、うん。」
…心配して損した。呆気にとられた、ってこうゆうの?返事もちゃんと返せなかったし。
突然だった。
“リリリリリッ”
あの音だ。不吉な音。今度は仕事はなしの労いだけならいいんだが。嫌なことは続くものだ。
「悪い。…後は任せる。」
彼女にそう告げ、部屋を出た。