第四十話 立ち塞がる者
―ウッド・サーテン―
『代表、到着予定時刻は22:45になります。』
「ふん。分かった。」
全く、やっておれんわ。
私は代表取締役だぞ!なぜこんな旧式の車に乗らねばならんのだ。ふざけおって!
捕まれば全てがパァになることは分かっとる。足のつかん方法もこれぐらいしかないのもなぁ。だが、最近この方法も見破られつつあるではないか!人のビジネスを邪魔する奴がおる…。このことが一番腹立たしい。おかげでボディーガードを増やさなならん。増やし過ぎたら目立つし…。あー!全く腹立たしい!
その時、突然車が止まった。
反動で体が前のめりになってしまった。
「な、何ごとだ!」
『こちら、トラ1。どうした、リュウ1。』
隣に座っとる、ゴツイ奴が無線で前の車と連絡を取っている。
―トラ1―
『こちら、リュウ1。何者かが道を塞いでいる。おそらく、ケルベロスだ。』
ケルベロス―来たか。ということはこの男が行う取引とやらは相当なヤマなのだろう。
「リュウ1〜4はここで奴を迎え撃て!あくまで時間稼ぎだ!命を粗末にするな?」
『了解した。ここで迎え撃つ。』
「車を出せ!」
こういった時の対処法も予め用意している。
道なら無数にある。遠回りにはなるが、時間稼ぎしている間にコースを代える。どうやってここを通ることを知ったのか分からないが、振りきればもう追ってこれまい。
―リュウ1―
代表を乗せた車は打ち合わせ通り引き返して行った。ここに残った我々の任務は時間稼ぎ…、なんざ控えめな。四対一なんだ。仕留めてやらぁ。
全員、車から出て銃を向ける。奴はバイクからは降りているものの武器を構えも、戦う意識さえも見えない。死にたいのか?虐殺魔が!ふざけやがって。
「テメー…。死にたいなら、望みどうりにしてやるよ!撃て!」
引き金を引いた。引き金が折れそうになるほど力強く。