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第三十五話 ただいま

トーイッシュの運転する車に乗って町外れの倉庫に向かうの。古い倉庫で、小さなビルの屋上にあるみたい。だから、ガスは届かないの。トーイッシュがリモコンを取り出して、ボタンを押したら、重そうな鉄の扉が開いた。倉庫の中はボロボロで何にもなかった、んだけど、またリモコンを押したら…。


“ゴゴゴゴッ”


地響きっていうんだよね?ホントに字の通り地面が震えてた。突然だったから、ビックリして車のイスにしがみついちゃった。


『見てなよぉ。ビックリするからぁ。』


もうビックリしてます!しがみついたまま、うっすらだけ目を開けて前を見てたら、“ガコッ”って音がしたかと思ったら、前の地面がせり上がってきたの。ちょうど車一台が入れる位の高さで止まった。


「もしかして…エレベータ?」


『ビンゴォ!』


スゴイ違和感。


外から見たら今にも壊れそうなのに、リモコンで開閉したり、車用のエレベータがあって、下に下りたらガスの溜まってないトンネルまであるんだもん。あのおっきなコンピュータとかもそうだけど狼さんとトーイッシュってもしかしてお金持ちなのかな?蒼白いライトで照らされたトンネルの中を進んでいる間そんなことばかり考えてた。後で訊いてみよっと。


十分くらいかな。トーイッシュが車を止めた。着いたみたい。


降りたら、そこは丸い小さなドームみたいになってた。真ん中には丸い筒みたいな柱があって、その奥には見たことのあるバイクがあった。狼さんのだ。前のときもこの道を通ったんだ。…あんな地響き聞いた覚えがなかったんだけどなぁ。そこまで浮かれてたのかな?


トーイッシュが柱の方へ歩いて行った。後からついてくと、柱に扉がついているのがわかったの。エレベータだったんだ。ボタンを押すと開いて、私たちは乗り込んだ。


次に扉が開いたときは私の知ってる景色が広がってた。外の世界に私の帰ってこれる場所ができるだなんて、あの部屋にいたときには諦めてた。今でも信じられないもん。だから、狼さんの言ってくれた言葉がスゴく嬉しかった。


『おかえり。』


「ただいま。」


私は今までで一番の笑顔をしてたよ。もう一度言っておこっと。


ただいま。

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