第三十二話 我が社
「かー、最近は一体どうなってんだよ。」
俺は頭をかきながら名簿を見ていた。見当つけてた奴らが全員仕事を抱えてたんだからな。しかも長期だから他の仕事なんてもてない。こんだけ忙しいのも珍しいな。全社員三百人に対して空いてるのが一、二人だけだからな。そいつらも怪我の治療で休んでるだけだし、有り得ねえ…。
さきにサポート頼んどくか…。仕事上、情報管理とかは重要になるもんだからサポート要員つーのも必要になってくる。今回なんか誘拐捜索だからな。情報管理がいねぇとろくに動けねぇ。俺のデスクのある階の四階上だから…二十階だな。エレベータで上がると、カウンターがある。ここで捜索内容、必要な情報なんかを申告すればそれに関しての情報を調べ、伝えてくれるサポーターを用意してくれるってな訳。今回の仕事なら一人だろうな。
申告書出した丁度そのとき、アナウンスがあった。
『ジェイク・アーベン、五十五階、社長室におこしください。』
ん?ボスが呼んでるのか?エレベータに乗り込んでそのまま五十五階へと上がっていった。
ボスの部屋はエレベータのすぐ前の部屋だ。まるまる一階分がボスの部屋にあたる。なんでこう偉い奴の部屋って無駄にデカイのかねぇ。そんなこと考えてねぇでさっさと入れよ俺。
“コンコンコン”
「ジェイクです。」
『入ってくれ。』
分厚い両開きの扉を開けて中へと入って行った。中は丸い部屋になっていて、全面ガラス張りになっている。両サイドにはいくつもモニターがあり、世界中のニュースが放送されている。デスクまでは大物の企業家などとボスとの写真が飾られている。現役ん時はすごかったらしいからなぁ。
デスクにはボスと…前にいるのはバンか。新No.2君も呼ばれたのか…。
『チームは組めたか?』
「まだっスよ。」
そんな事聞くために呼んだんだねぇだろ。
『そうだよな。だがもう安心していいぞ!お前はバンと組むことに決まった!』
ふ〜ん。…へ?