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第三十一話 次の舞

コンピュータルームに入ると、かけてきたのはあいつらではなかった。


モニターに映った人物は顔を隠し、肩まで見えているのでスーツを着ている程度しかわからない。ただ、襟の部分にウロボロスをあしらったバッジを付けている。


『前回の任務はご苦労であった。』


合成音声を使って話をする。こいつが俺達の依頼者だ。顔も声も素性も…何一つわからない。わかっているのは仕事させるとき以外は連絡を取らないことくらいか。


『なかなか苦戦を強いられたようだな。戦利品は自由にしていいぞ。』


相棒が昨日のうちに報告書をまとめて出していてくれた。よく働いてくれる。


「次か?早いな。」


今更後には退けない。与えられた仕事はしなければ生きていけないからな。


だが、早すぎる。任務の次の日に次をもってくるとは、今までにはなかった。


『お疲れのところすまないな。次の仕事はいつもの方法で送っておいた。さきの報酬もいつもの口座に振込んである。確かめておいてくれ。では、今回も健闘を祈る。』


“ブツッ”


回線が切れた。この仕事を始めてから今まで、ずっとこのスタイルだ。この会話だけを盗聴されていたとしても、仕事内容まではわからない。内容自体は別回線でデータを送ってくるらしい。使い方が解らないから、相棒に説明してもらったことしか知らない。データも暗号化しているから見られるようなことがあっても、仕事をするまでに解読するのは不可能だそうだ。だからこそ、今までここがバレるようなことはなかった。


相棒が戻って来たら解読してもらうか…。俺は自分の部屋に戻り、道具の手入れを始めた。仕事は渡された日の深夜に行うことが多い。すぐにここを発てるように準備をしなければ…。


テキパキと支度をするのと裏腹に頭では何も考えていなかった。考えられなかった。また後悔ばかりしてしまいそうだから…。一度手を止めて、昼間は明るく世界を照らしている月を見た。

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