第二十九話 外の世界
見渡す限り、人、人、人!お昼からトーイッシュに連れて行ってもらって、ショッピングにでたの!世界にはたくさん人がいるのは知ってたけど、実際見るとびっくり!“一見は百聞にしかず”ってこういうことかな?今ここにいるのは百人位だと思うんだけど、奥の人たちは頭しか見えないんだもん。世界人口六十億人ってどんなのなんだろう…。
トーイッシュが狼さんと相談して決めたんだって!私、着てた白のワンピースしかなかったから、服とか揃えないと着るものないもんね。
でも、外に出られたことが一番嬉しかった。普通の女の子みたいに過ごすなんて初めてだから…。ただ何からしたらいいか全然わかんなかった。服だってどんなの選んだらいいか、なんてわかんないし…。
トーイッシュにそのこと話たら。
『大丈夫、大丈夫。そんなことだろうと思って助っ人呼んでるからぁ。』
それで、今はその助っ人さんを待ってるところ。
「一時に待ち合わせてるんだよね?」
…もう二十分ぐらい過ぎてた。時計の見方間違えてないはずだけどなぁ。
『そろそろ来るよぉ。もうちょい待ってて。』
苦笑いしながらそう言ってた。いつもなのかな?
『…あ、やっときたよぉ。』
三十分回ってたと思う。トーイッシュが通りの向こう側を指差した。それをたどって行くと…さきにいたのはキレイな女の人だった。携帯電話…だったよね?で、電話しながら手を振りながらこっちに来た。
『じゃあ、また後でかけなおすわね?…ええ、じゃあ。…ごめんね。ウチの新人がバカやっちゃって助けに行ってたの。』
髪はブロンドで肩まで届いてる。クルクルっとしててかわいい。背も高いしスタイルいいし…なんていうのかな?…そう!女優さんみたい。ホログラムで見た女優さんに負けないくらいキレイ。
『それでその娘が話してた新入りさん?』
「セフィリアです。よろしくお願いします。」
『うんうん。…にしてもバレないようにってのは判るけど、そんな黒コート着てたら逆に目立つわよ。』
ワンピースだけだとなんだからって、トーイッシュが貸してくれたの。
『まあいいわ。これから私がコーディネートしてあげるから、ついてらっしゃい。』
なんだかワクワクしてきちゃって、お姉さんの後に小走りでついて行った。