第二十四話 人の繋り
遅れて入ってきた狼さんもイスに座って食べ始めた。初めは手で食べると思ったの。流石に本物の狼みたいに口だけで食べたりしないだろうなぁ。だけど、予想は外れちゃった。
…見てたら笑っちゃった。だってあんなに大きくて、狼なのにちゃんとスプーンとフォーク使ってるんだもん。狼ってスプーンとフォーク使って食事する?その上マナーもしっかりしてるから、すごくおかしくて…。
隠れて笑ってたら、バレちゃったみたいで狼さんに睨まれちゃった。でもね、その顔にマヨネーズが付いてるのに気付いちゃったらもう笑いが止まらなくなっちゃって…。思いっきり笑っちゃった。
『何が可笑しい!』
狼さん怒ってたみたいだけど、止まらないんだもん仕方ないじゃない。黒髪の子―昨日あれから名前訊いたらトーイッシュ・エイデンて言うんだって―も、マヨネーズに気付いたみたいで一緒になって笑い始めた。すぐ殴らてたけどね。
こんなに笑ったのは生まれて初めてだった。やっぱり外はいいね。出てすぐにこんなに楽しい思いが出来るなんて…。これが人の繋がりっていうものなのかな?仲間とか家族っていうもの。習った時はよく判らなかった。当然だよね。他の人と会ったことないのに…。でも、私はとうとうその中に入れたんだ。それが嬉しかった。
笑い続けたせいかな…。ちょっと涙が出ちゃった。涙を拭って、お皿洗いを再開した。二人は美味しそうに私の作った料理を食べ続けてた。つまらさなければいいんだけど…。大丈夫かな?