第二十話 帰宅
今回ジェイクの乗る車とは、“反重力システム”という、重力を打ち消して、浮くことのできる、“空飛ぶ自動車”といったものです。
『またきれいに斬られたわね。これは縫わないとダメね。』
新しい任務の話は俺が担当することに決まって、詳しい情報はまた今度送ってもらうことでまとまった。で、斬られた傷ちゃんと治療してもらう為に“医療科”へ来たわけなんだが…。
「麻酔使うと今日に帰れねぇから、このままでちゃっちゃとすましてくれ。」
『そのつもりよ。痛むからって動かないでよ。』
今、傷を診てもらってるこいつはサロナ・フローラ。俺と同期だ。怪我するたびに診てもらってるからかな。こいつになら安心して治療を任せられる。
治療を受けている間にあの野郎のことを話してた。仕事の内容をもらすのはご法度なんだが、まぁ、敵の話だし別に問題ないよな。全部話し終わると、
『そこまで一致するなら、本当に狼なのかもね。』
けっ…。からかうなよな。
『はい!終わったわよ。傷開かないよう安静にしてなさいよ。…ほら、あの子たちが待ってんでしょ。早く帰ってあげなさい。』
「ああ、ありがとよ。」
娘たちが待ってっからな。
本部から十分程、車を飛ばすと、家のあるドームが見えてくる。ビルが立ち並び、一面コンクリの外と違って、ドームの中は木や緑、自然でいっぱいだ。動物だっている。正確にはこの中にしか残っていないって言った方がいいか。こうゆうとこは他にも幾つもあって、一戸建てに憧れて、とか、自然の中で暮らしたいってな家族が集まってる。俺も似たようなもんだ。この中に今の俺んちがある。
もう七時か…。あいつら起きてるな。
中央街から少し離れたところ…周りは木で囲まれ、子どもたちが遊び回れるような遊具なんかも置いてある。二階建てで、木でできた二家族が一緒に暮らせるくれぇの大きさだ。こんだけ大きい理由?すぐわかるよ。