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第一七三話 決まらない方針

「そんなもん…か。」


デスクに置かれた報告書に軽く目を通したが、期待以上の情報は得られなかった。襲撃グループを送った依頼主の情報が最も欲しかったが、どうやら、会社自体が消されてしまっていたらしく、社員名簿などの情報すら、簡単には得られるような状態ではないらしい。またザイレイに頼む必要があるかも知れないな。依頼主がわからなくても、いろいろと細工した痕跡位は残ってるかもしれないから。難しいところだが。


『おはようございます。昨日の件の報告書ッスか?』


「早いな。ああ。あんまり欲しいもんはなかったけどな。」


バンもあまり休めていないはずなのに、社に顔を出していた。俺の答えにそれほど落胆するでもなく、ただ、そうですか、とだけ口にした。バンも気になって早く来たようだ。あまり期待はしていなかったようだが。


社長を狙うべく移動中を襲わせ、成功しようが失敗しようが毒を飲ませて殺す、だなんて下衆なやり方をするもんだ。そんな命捨てさせて命取らせようだなんて考えてるのに、随分回りくどい方法を取るもんだ。殺そうと思えば会見中のような逃げ場の少ないところを狙ったほうが可能性は高い。特に、自分たちの命を捨てるのであれば、防ぎ様がなかったとも言いかねない。移動中を狙うにしても、全てが終わってからでも構わない。いや、ルートが読めないのならば、次の目的地が決まっているあのタイミングで狙うのはある意味理にかなってるとも言える。けど、あんな方法を取るのも理解出来ない点が多い。


「あー、ダメだ。わからねぇ。」


普段使わない頭を使ったからか、無性に体を動かしたくなってきた。少し動かして頭を冷やしてくるのもいいかもしてない。


『先輩、後で昨日の現場に行きませんか?』


「ああ、そのつもりだ。先にザイレイの所に寄ろうと思うけどな。また嫌味言われるだろうけど、欲しい情報見付け出してくれるかもしれねーしな。なにか残ってればいいけどな。」


『…廃ビル群も少し回ってみませんか?』


廃ビル群?ということは他のビルもってことだよな?と、バンの顔を覗くと、不安げな顔を示しいる。何か気になることでもあるのだろうか?


俺の表情を読み取ってか、バンが続きを話してくれた。


『昨日、あいつらの乗る車が来る前に、別のビルが光った気がしたんです。気のせいかも知れないッスけど、どうも気になってしまって。』


「そうか。…よし、他も回ってみるか。何もなくても肝試しみたいで面白そうじゃねーか!」


冗談交じりに答え、二人してエレベータに乗り込んだ。一汗かこう。考えるのは疲れるな。

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