第十七話 試験
301号室、俺達はコンピュータルームと呼んでいるその部屋に入った。
コンピュータの前には相棒がお気に入りの回転イスに乗って待っていた。
このコンピュータは相棒が自分専用に作ったもので、この部屋全体だけでなく、隣の302号室にまで侵食している。そのお陰なのかはよく判らないが、いつも作戦の時には手に入らないような情報を与えてくれる。建物の見取り図、見張りをするボディーガードの個人情報などだ。前回のFとの摩り替え、逃げ道の確保に繋がっているわけだ。
『これから、君の言ってたことが本当かどうか、テストするから…。そこに座って。』
と、私と同じ位の背の子が偉そうに言った。クシャクシャの黒い髪、顔はニキビがいっぱいでメガネかけてる。ちょっとイラっとしたけど言う通りにしてあげた。
テスト?信じてないんだ!なら、びっくりさせてやるから!
コンピュータのスクリーンの前に座った。狼さんはドアの前から離れてない。狼さんの方が気になるんだけどなぁ…。
『そしたら始めるよぉ。そのペンで画面に書いてね。』
いいよ!さっさと終わらせるから!
…長引きそうだ。ここは相棒に任せて休むことにするか。部屋を出て、ちょうど階段の向こうが俺の使っている、305室だ。…疲れた。入ってすぐベットに倒れ込んだ。
手に何か当たった。なんだ?取ってみると、ファイル…そうだ、作戦の前に渡されたボディーガードの連中の個人情報だ。閉じていた目を開き、灯りをつけ、奴のデータを探した。それはすぐ見つかった。やはり隊長なのか。名前は…
“ジェイク・アーベン”