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第一五九話 突然の終わり -表-

「この作戦はお前らだけか?」


襲撃してくる姿を見たのは車三台。それ以上に追撃がないとは限らない。


『さぁな。』


閃光を受けた両目を閉じたまま、唸るように答えた。まぁ、首を縦に振られても信用ならないんだがな。


五階上にいる社長を避難させるためにも、外にいる三台目をなんとかして、こっちに目を向けさせたい。潰せればそれでも構わない。その方法を考えかねている。五階上にはこの階と同じく、車両の出入りが可能な通路がある。入る前に確認した。


三台目は今、外で停止している。ビルの外。この階と五階との中間位の高さで、ビル自体からは三十メートル程離れた位置。動きを見せない。


突入班が捕まっているのは検討がついてるんだろう。通信機を見つけたから、返信がなければ察しがつく。


冷静を保っているが、正直、すぐに社長のところに向かおうかとも思った。ここでこうして口を割らせようとしても、情報を得られるとは思えなかった。それでも、少しでも繋がればと思っていた。案の定、無駄足だったわけだ。


三台目に注意は払い続けている。上の連中とも通信もし続けている。いざ上に乗り込みに行かれても、五階上とはいえ、すぐに駆けつけられるようにしている。


正直、利口な手段じゃない。というか、こんな状況になるのはかなり奇妙だ。敵側の動きが変だ。一台残して襲撃してくる理由はわからなくもないが、その後の対応が変だ。突入班との通信は行っているはずなのだから、社長の姿が見つからない事をすぐに伝えれば、他の階を探すなり、外の奴らにもできることがあるはずだ。


考え込んではいたが、捕まえた連中からの通信機は奪いとってあるのだし、さっさと社長たちに合流しようと、階段を目の前にした時だった。


外からの光がより強くなった。即座に身構える。社長たちは階段の側に隠れている。大丈夫。迎え撃つ。


『残念だったな。』


ゲイルがかすれた声で言い捨てた。気にしている場合じゃない。


だが、予想した光景にはならなかった。光は今度は弱くなっていった。遂には無くなった。


どういう事かわからず、警戒しながら入り口に近づいて行く。下を見ると、ガスの一部が黄色く光っている。かと思うと、今度は赤黒い光と爆音が届いた。車の姿はない。


まさか、落ちたのか?なんにもしちゃいないのに。少しでも状況がわかればと、周囲を見渡してた時だ。一瞬視界の隅に光が見えた。何があるのかと、探したが、なんの姿も見えない。気のせいか。


『先輩!』


バンが呼ぶ。焦りが聞こえた。すぐに振り返ると、意図する事がわかった。


柱にくくりつけたゲイルが口から泡を出していた。全身が痙攣し、目も限界まで見開かれ、血管が浮き出て、顔が真っ赤だ。痙攣はすぐに収まった。ただ、襲撃犯はこれで全滅した。

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