表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
155/173

第一五五話 繋がりの消失 -狭間-

隠しファイルはちょっと面倒臭かった。パスワードかかってたし、不正アクセスすると全データが消却される、なんて手の込んでた事してた。少し時間かかったけど、消えることなんてなく開けた。


「うげぇ。」


中身見て出た感想。いや、今時ディスクに焼くなんてするから、かなりデカイデータが入ってんだろうと思ってたんだけど、せいぜい二百位。それより問題はタイトルだよぉ。一番最初のファイルが“試験体解剖001”なんて誰がみたいのさ。頼まれたって見ない。


と思ったんだけど、他のも名前だけ見ていっても、嫌なのばっかし。ゲノム情報とか、細胞変異過程とか見ても仕方ないし、耐久実験なんて絶対開けない。


「マシなのないなぁ。」


思わず独り言がもれるくらいだった。もう見るの止めようかと思って、せめてファイル形式が文章のがあるか確認した。


これまた多かった。一つのフォルダの中にまとまってたんだが、全部で百近く…。何をそんだけ書いたんだか。


大体が計画表とか、考察とか、ホント実験好きだったんだなぁ、って感じるようなのばっか。適当に二、三個選んでみた結論。後はタイトルだけ流し見して、気になるのだけ読も。片肘ついて、首もちながらそう考えた。


“追悼”


場違いのタイトルがあった。追悼?誰か死んだのかぁ?わざわざ隠すようなもんでもないように思ったが、気になったからには見ようと手が勝手に動いてた。


“昨日、恩師であるアイル・ハルワールが亡くなられた。殺害されたそうだ。犯人は警察が捜しているらしい。ご高齢であったのに寿命で亡くなられないとは残念な事だ。”


「うーわぁ。」


ただの日記じゃん、と思って読んでたらまた独り言。いや、だってワンコが殺した奴の名前だったからなぁ。…たぶん。全員の名前なんて覚えてないから、確認しないと言い切れないけど。


っても、やっぱしただの日記。わざわざ隠してる理由はわからない。続き読も。


“その前日に唐突にきた連絡が当然気になった。久しく連絡をとっていなかった事もあるだろう。ただ、どうしてもその意図することが汲み取れない。たったニ行のメール。タイトルもない。ただ、こう書かれていた。”


俺の目は次の行の文から目を離せなかった。


“白い狼に気をつけろ。黒い狼に手を差し延べろ。”


白い狼?黒い狼?黒はワンコとしたら、やっぱし、白は…。明らかにこいつは何か、いや、全部知ってたのかもしれない。だけど、そいつは殺しちまった。


「なんだよ、それ。」


勝手に笑ってた。気持ち悪い笑い方で。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ