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第一五三話 姉貴 -狭間-

カーテンをほんの少しだけ開けて、外の様子を見た。ここ数日張っていた車はなくなってる。さっきコンビニ行く時に気づいたんだけどね、周りに気になるような奴はいなかった。外出ると、絶対こっちを見る視線感じてたんだけど、そんなの感じなかった。さすがに諦めたのかねぇ。ありがたいけど。これでもう向こうに戻れる。


ワン公はもうすぐ、潜入するところだろうな。今回の侵入経路は苦労したねぇ。デカイビルに入んだけど、力技だと見つかっちゃうしね。聞き出すのが目的なんだから、他の奴に見つかると、それが出来なくなっちゃうしね。殺すより、生け捕りにする方が難しいって、皮肉なもんだね。


俺が提示したプラン、あいつはかなり不満そうだった。つっても、それぐらいしかないんだもんな。それに、あいつ、どんなの出しても、すぐに首を縦に振ったことなんてそんなないしなぁ。気にもしないけど。


"コンコンコン"


買ったものを閉まってると、ドアから音がした。誰だろね、こんな時間に?まだ遅い時間じゃないけど、人が来るような時間じゃないけどぉ。


『私よ。開けて。』


声を聞いて納得した。姉貴かぁ。


「はいはいぃ。今開けるよ。」


仕事してきて疲れましたよ、って顔がつったってた。


「どうかしたのぉ、こんな時間にぃ?中入る?」


『いいわ。すぐに帰るから。』


姉貴はいつも俺をそんな目で見る。心配してるというか、同情してるっていうか。すごいウザい。だから、ホントは会いたくない。


昔からそうだ。じいさんが自主した後、もらわれたその時から。おっさんもおばさんも姉貴も、みんなみんなそんな目。だから俺は大丈夫だ、というように笑い続けた。当時はそこにいるしかなかったんだから、その目を少しでも紛らわそうとしたら、そうするしかなかった。


『私のところに警察が来たの。昔のことを聞きに。何があったの?』


何かあるといつも俺のところに来て、心配してますよ、てのをアピールする。止めて欲しい。俺のつく嘘だって信じてもないくせに、信じたフリをする。要するに偽善者なんだ。せっかく人がいなくなって気が晴れてたのに。また暗くなってきた。


「よくわからないけど、また昔みたいな事件があったんだってぇ。それでだと思う。」


納得したように疑問を浮かべていた表情が和らいだ。


『そう。…大丈夫?昔の事思い出して、辛くなったり-』


ウザイ。


「大丈夫だよ。俺ももう大人なんだから。心配しすぎだよ。」


閉まった。語尾を伸ばすのを忘れた。でも、そんなことは気にならなかったらしく、姉貴は続けた。


『わかった。もう帰るわ。セフィリアちゃんによろしく言っといてね。』


さっと振り返って、スタスタ歩いていった。セフィリア…か。そういえばあいつ、勝手になんか調べてたっけ、ワン公の持ってきたファイルの隠しデータもあるし、向こうのPCでも扱うか。飲みもんとって机のPCの電源を入れた。

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