第一四四話 星天祭
「ホントに大丈夫なのかな。」
ジェイクからメールが届いた。今日は遅くなるけど、明日は問題ない、だって。ジェイクの事だから、誕生日をすごく大事にしてるのはわかってる。だけど、仕事だって大事なんだもの。どうしても入ってしまったら、仕事をするしかない。
『で、レインはどうするの?』
前に座っていた友達が振り返って訊いてきた。メール見てて聞いてなかったや。
「ごめん。何だっけ?」
『星天祭よ。誰と行くのかって話。』
「星天祭って今週だっけ?」
『なにぃ?忘れてたの?』
ファムの誕生日の事で頭がいっぱいだったから忘れてた。今週末、星天祭があったんだ。十年に一回、月のメンテナンスで一時間明りが消える。その日を星天の日っていう。名前の由来はその日の夜空が星空のように見えるからだから。星空と言っても、建物の光なんだけどね。一つ一つがとても小さい光だけれどもいくつも、いろんな色の光が集まるのは圧巻だった。一度だけ見たとき、首が痛くなるまで上を見続けたのを覚えてる。
十年に一度なんて事だから、お祭りが各地で開かれる。この辺でも開かれるんだろうな。前のは眩しいくらいに飾り付けて、明りが消えていない間でも賑やかだった。消えた瞬間にはカウントダウンと花火が上がってたっけ。
『ユーネは彼氏とだって。あたしとルリは女友達だけで行こって言ってるんだけど、レインもどう?』
四人で話してたんだけど、みんなどうするか決まっているみたいだ。
「私は…。」
考えてなかったからすぐに答えられなかった。友達と一緒に行くのもいいけど、今の家族で見るのも初めてなんだし、そっちを優先したいな。ジェイクは絶対忙しそうだし。
「家族と見る、かな。ごめんね。」
そういうと、わかってました、って感じでみんなお互いに目を合わせてた。
『言うと思った。レインらしいよね。』
『彼氏と、なんて言ったら叫んでたとこよ。』
「ちょっと、私だって女なんだから、いうかもしれないじゃない。」
『『『ないない。』』』
三人同時に言われた。冗談でも、さすがにショックだ。
「そこまで断言しなくても…。」
『ごめんごめん。まぁ、いつかはそんな日も来るかね。』
「…自分だっていない癖に。」
『そうだ。ユーネならともかく、アンに言われたくないな。』
『ひどっ。今だけじゃない。』
みんなで笑った。後も話してたけど、正直あんまり訊いてなかった。少し思いだしてたんだ。お父さんが生きてた時のこと。