第一三二話 三首-偽装
この話のクイズの内容ですが、全くの想像です。
今後も出てくることのない内容なので、
スルーしてもらって結構です。
セフィーが用意出来た一分。かなり少ないように見えるけど、案外十分なんだぁ。なんたって直通回線から入れるんだ。外から入るのだと、壁が何箇所かあるから時間かかるけど、これならウイルスでもばらまくだけで終わり。楽だねぇ。
さてさて、次はワンコが入れるようにしないとねぇ。ウイルスって言っても、俺以外の奴がセキュリティを操作出来なくする程度のもんだから、送ってからでも十分あされるんだよぉ。入室時の映像と音声を保管した場所を見つけた。一番最近のは、ついニ分前の少し白髪の混じった頭の薄いおっさん。こいつが今入ってんのか。交代だ、と言ってるねぇ。中からの記録もついてる。うん、いいねぇ。昔のもあさって画と声集めてぇ−
『−認証部屋まで到着。まだか?』
「いいよぉ。入ってぇ。」
袋に入ってたカードキーはあの小部屋に入るための鍵で、挿して承認したとこから通信が始まる。ワンコの姿が一瞬でも映らないように差し替えないとねぇ。タイミングもかなり合わせとかないと。ここまできておじゃんにしたくないしぃ。
『了解。…いくぞ。』
引っ張ってきてた小部屋内の記録が始まった、まさにその瞬間から切り替えた。まぁまぁじゃない?まぁ、ホントに面倒なのはこれからなんだけどねぇ。
“ID130609、キース・イヴィアンです。入室許可をお願いします。”
再生させた映像に映る人が話してるのをそのまま流した。こっちは三十代くらいの容姿の整ったおっちゃん。若干頬がこけてるのが残念だねぇ。
室内の映像にさっきの映像に映ってたおっさんが出てきた。目ぇ細めてる。疑ってるなぁ。
『お前さん、さっき製品運びに出たばかりじゃなかったか?』
あらら。まぁ、想定内だね。自然に返そう。
“忘れ物を取りに戻りました。”
今までのデータから大体口調は掴んどいたし、音声データも集めといたから、新しく作った分を言わせるのもできるようにしといた。仕事が早いでしょ?
『忘れもの、か…。まぁいい。』
まだ疑ってるみたいだけど、開けてくれそうだ。やったねぇ。
『遺伝子工学における亜種生産技術はこの十年で飛躍的に向上したが、当時のある生物学者の名をとられた理論を基にされている。この理論の名は?』
「へ?」
突然言われた事が何の事なのか全くわからなかった。思わず変な声が出たくらいだ。
『どうした?我々なら当たり前の事だろ?それとも聞こえなかったか?』
クイズってかぁ。うっとうしい事すんなよぉ。遺伝子が…なんだってぇ?
『カレンサラス理論。』
俺としたことが、焦っていると、無線のセフィーが何か言い出した。答えか?そりゃ助かる。
「もっかい!」
『“女性生物学者である、カレン・サラスの名からきたカレンサラス理論。現在は他の理論とともに亜種論と呼ばれることがある。』”
キーを叩き、一言一句漏らさずに入力した。ちょっと答えるのが遅れたけど、このタイミングなら全然怪しくないね。
『完璧な答え有り難うよ。入ってくれ。』
サンキュー、セフィー。助かったぜぇ。あー久々に焦った、焦った。無償に笑いたくなって、我慢する必要もなく声を出して笑った。
後はあんた次第だぜ、シン。