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第一三〇話 一首-設置

後六分。少し時間がかかっちゃった。音をたてないように通風孔を開けるのが大変だったの。でも、開いちゃえばこっちのもの!


下りるときも音がならないように気をつけた。そういうクツなんだろうけど、全然音がしない。どんなに気をつけても、少しくらいは音がするはずなのに、全くならないの。すごいね。


中は狭くて、はっていかないと進めなかった。私でこうなんだから、狼さんが入れるはずないね。役に立てる、そう考えただけで心が弾んだ。だって、私に意味があるって実感できたから。だから、絶対成功させるんだ。


進む先はまともに見えないくらい暗かった。明かりなんて点ける訳にはいかないけど、ちゃんと見えるよ。コンタクトを入れるだけで、真っ暗でもよく見える、なんてすごいよね。すぐに出口が見えた。少し先の通路の右側に金網がある。そこを入ったら、あと一歩。金網の真横にまできた。腰の右から二番目にあるホルダーに手を伸ばして、切る道具を掴んだ。後四分。トーイッシュは一分あれば準備できる、って言ってたから、実質三分。焦らないで、音をたてないよう気をつけるだけ。


“ギィ”


突然の音に手を止めた。まだ切り始めてないし、動いてないから私じゃない。そんな事を考えていると、金網の向こうから光が見えた。誰か来たんだ。


鼓動が早くなった。その音だけでもバレそうなくらい。あわてちゃだめだ。あわてちゃだめだ。それだけしか考えられなかった。ゆっくりと金網の前から下がって、光の当たらない所まで下がった。大丈夫。きっと気づいてない。ちゃんと静かに下がれたもん。だから、落ち着いて、私!


何度か金網に光が当たった後、また暗くなって、何か音がした。出ていった?気づかれなかった。ほっとしたんだろうね、鼓動が気にならなくなってた。


すごく時間が経ったように感じた。急いで時計を見ると後三分。たったの一分しか経ってない。よかったんだけど、信じられなかった。でも急がないと。


ホルダーに伸ばしてた手で道具を掴んで、カバーを外し、金網に当てた。当たった所がすぐになくなってく。私が通れるくらいの大きさに動かしていくと、カッターナイフで紙を切るみたいにスラスラ切れる。このナイフの原理は教えてもらえなかった。金属をこんなに早く切るだなんて、なんだろ…熱?酸?でも熱くないし、酸だとここまで早くはないだろうし…。水?


金網を一周して切り終わった。切り取った部分が落ちて音がしたり、なんて失敗しないように、ちゃんとつかんで線を繋げた。ほとんど全部切り取って、そこから部屋に入る。さっきみたいなのが起こらないように、静かに静かに…。よし、下りれた。


後二分。ギリギリだけどやっぱりあせっちゃダメ。音をたてないよう、少し早歩きでパネルに近づいた。後はフタを開けて、中にこの機械をつけるだけ。別のホルダーからドライバーを取り出して、ネジに当てる。あせって外れる、なんてことがなくてよかった。ネジを取って、中の基盤に機械をゆっくり、しっかりと…挿した。


「ふー。こちら、セフィリア、終わったよ。」


『了解ぃ、ハッキング開始ぃ!』


よかった。なんとか間に合った。後は狼さんがうまくいくのを祈ってよう。

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