第十二話 羽ばたく翼
「もうここにはいられない。」
爆発音を聞いて気付かれているはずた。こいつは俺の素顔を見て、怖がらなかった。それどころか新しいことを知れて嬉しいと言っていた。風もしらない。…本当に出たことがないのか?俺が来るまで、ここに閉じ込められているのか…。他人に人生をいじられ、自分の道を持てない…。自分自身と被った。こんな姿にされ、人の前に出ることができなくなった俺と…。
仮面をつけ、俺はこいつに手をのばして言った。
「お前は俺の顔を見た。このままここに残す訳にはいかない。…一緒に来い。」
言葉を強くしたのは、自分を納得させるためだった。自分と被ったからではなく、顔を見られたから。そう言うことで、甘さを残した自分を隠したかったのだ。
すぐに返事をしたかった。でも、ノアの言っていた“私を必要とする方”って言ってたのを思い出した。ここでついて言ったら何のためにここいたのかわからなくなっちゃう。…だけど、これを逃したら次にいつ外を見られるのかわからない。そんなのもう耐えられない。
すこし迷ったけど、やっぱり私がいたい場所は…。
外の世界!
「うん!」
私はやっとカゴから外に飛び出せるんだ。小鳥のようにカゴに閉じ込められ、自由に空を飛べずに、外を夢見る日々から変わるんだ。この人は私を導いてくれる翼になってくれるんだ。
私が手をつかむと、狼さんは私を抱えて、
『しっかりつかまってろ。』
て、言って、外へと飛び出した。