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第一〇五話 地底の情報屋

『今の内に銃を出せ。』


部屋の揺れがおさまる前に武器を取られた。規則だから例外はなし、だと。


『腰のナイフもだ。』


探知器でもあんのか?見た目じゃわからないものまで指摘してきた。バンは渋々小型のナイフを差し出した。


『別室から見ている。センもそのスタンガンいらないから渡せ。』


こっちもバレバレか。グローブを外し、ザイレイに投げた。渡すのを見計らっていたかのように、揺れが止まった。


『よし。出て突き当たりの部屋まで行く。』


扉が開くとさっきとはかなり雰囲気が変わっていた。細長い廊下が続いていた。壁は灰色でかなり汚れが目立ち、所々ひびが入っている。廊下の左側にのみ扉が並び、そのどれもが金属の重厚な印象を受ける。対して、右側には窓が並んでいて、そこから見えるのは−。


『外ガスしか見えないし、この廊下の雰囲気…。ここって工業区ッスか?』


「大当りだよ。」


さっきのはわざわざ言わなくても分かっただろうな。エレベータは地下まで続き、工業区の建物の中にまで伸びている。この階以外に数階分ある。その部屋の中で、情報の売買がされてるって訳だ。


情報屋がこうして集まってるのはめずらしいんだ。普通、他の連中が手に入れられる以上の情報を仕入れてやる、って躍起になるからな。そうでないと買ってもらえないしな。だから、個人で他の連中に知られないようこっそりと動いてたりする。


ここは前にも言ったが、工業区で働いてた連中が集まって出来た街だ。みんなが同じような経緯で集まったからこそなんだろうな。昔からこの街に住む連中は家族のような結束力があったらしい。今話してるのはザイレイから聞いた話だ。


そんな結束力の中で生まれたからかわからないが、個人の多いこの稼業も組織を組んで行っている。数がいるために足がついたりすると、全員が何らかの仕打ちを受けることになるかもしれない。売った情報のせいで恨まれることもあるだろうからな。ただ、利点も多いらしい。情報の共有や身の安全も取りやすい。何より、多くの場所から情報を得られる。ネットが張り巡らされてるっつっても、全てそこから得られる訳じゃねえからな。別の組織に潜入するやらを一人の人間だけじゃしきれない。上手く役割分担されている。


要はここはかなり情報が集まる場所なんだ。警察も情報を買いに来ることがあるらしいしな。まぁ、俺もそんな連中の一人なんだけどな。望むものがあれば、一番いいんだけどな。

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